スポーツ

クラシック前哨戦の見方、楽しみ方【さらば愛しき競馬vol.11】

角居勝彦調教師

角居勝彦調教師

 現役最多のGI38勝(中央、地方、海外)を誇る角居勝彦調教師は、家業である天理教の仕事に就くため2021年2月で引退、角居厩舎は解散となる。調教師生活20年、厩務員として栗東トレセンに来てから34年、北海道のグランド牧場で初めて馬に触れてから40年。角居師は自身のホースマン人生の集大成として『さらば愛しき競馬』を上梓した。角居師によるカウントダウンコラム(全13回)、今回はクラシック前哨戦について解説する。

 * * *
 角居厩舎のGⅠ馬キセキとワイドファラオが、私と入れ替わりで開業する辻野泰之厩舎に転厩することになりました。2006年から角居厩舎で働いてもらっており、一時はスポークスマンを務めてもらったので、競馬新聞などで名前はご存じかと思います。この2頭はもちろん、ウオッカやエピファネイアなども間近で見てきています。

 今年は新規開業厩舎が多く競争も大変かもしれませんが、まだ39歳という若さです。従来の考え方に固執しないで、いいと思ったことはどんどん取り入れていってほしいですね。

 さて今週は東京競馬場で土曜日にクイーンC、日曜日に共同通信杯という3歳重賞が組まれています。

 とくにダービーやオークスを目標に馬をつくっていこうとする関西馬は、できるだけ早い時期に東京への輸送とコースを経験させておきたい心情になる。もちろん重賞勝ちのタイトルが欲しいとか、賞金を上乗せしておきたいということもありますが、それよりも輸送とコース経験を積ませることを大切にしているように思います。

 東京競馬場はダービー、オークスだけでなく、古馬になってからも天皇賞(秋)やジャパンカップ、安田記念やヴィクトリアマイルといった魅力的なレースが多い。関西馬にとってはあまり走りなれていない左回りですが、早い時期に克服しておきたいのです。

 クラシック第1弾は皐月賞ですが、牡馬の大目標はやはりダービー。成長過程で適性もはっきりしない時期の中山2000m。枠順の有利不利もあるし、2週連続開催の最終週で馬場は荒れています。5着以内に入ってダービーの優先出走権を得られればよしと考えている陣営もあるぐらいです。

 共同通信杯を勝った馬は、ここ10年で皐月賞を3勝しています。そのうちイスラボニータはダービーでも2着。またスワーヴリチャードとダノンキングリーも2着でした。一方ダービーを勝ったディープブリランテとドゥラメンテはいずれも共同通信杯で2着でした。やはりコース経験が生きたのだと思います。

 角居厩舎では2017年にエアウィンザーが出走、3番人気に支持されましたが6着。先に輸送とコース経験を積ませたいと書きましたが、ここで勝ち負けできないようではクラシック云々とは言っていられません。その後は条件戦からコツコツと勝ち上がり、4歳になって本格化、4連勝でチャレンジカップを勝ってくれました。

 そういう意味では、クラシック戦線に挑むかどうかの試金石ともいえます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン