ライフ

「とっとり方式認知症予防プログラム」が話題 実証実験で効果証明

「コグニサイズ」で認知症を予防する

「コグニサイズ」で認知症を予防する

 独自の認知症対策で注目を浴びている自治体がある。鳥取県では、自治体と大学、公益財団法人が一体となり認知症予防プログラムを開発。プログラムによる認知機能の改善が認められ、全国の自治体に広がりを見せている。『週刊ポストGOLD 認知症と向き合う』より、認知症予防の最新の取り組みを紹介する。

 * * *
 鳥取大学医学部で長年認知症の研究を続ける浦上克哉教授は、次のように警鐘を鳴らす。

「認知症の予備群ともいえるMCI(軽度認知障害)の人は、私たちの研究では認知症患者の1.5~2倍はいると考えています。このままいくと、2025年には最大で1400万人のMCI患者が発生する可能性があります」

 放っておくと認知症に移行していくとされるMCIだが、早期に発見して適切に対処すれば認知症への進行を遅らせる、あるいは症状の改善を期待できる。

 そこで注目されているのが、鳥取県が独自に展開する「とっとり方式認知症予防プログラム」だ。週1回2時間、独自に開発した運動や知的活動のプログラムを24週間繰り返して行なうことで、認知機能や身体機能の改善を目指す。実証実験などを通して成果が認められ、現在では全国の自治体で取り入れられ始めている。前出・浦上氏がここに至る経緯を解説する。

「私が鳥取県の琴浦町で認知症予防の取り組みを始めたのは、2004年です。誰もが楽しく参加できる方法を模索しながら、『運動』『知的活動』『コミュニケーション』の3つを取り入れた認知症予防プログラムを開発しました」

 当初からプログラムの効果に自信はあったが、一方で悔しい思いをしたという。

「“科学的なエビデンスがない”という指摘を度々、受けました。それどころか、“認知症は治らない病気だからエビデンスのない予防などやっても意味がない”と言う研究者もいました」(浦上氏)

 そんななか、2016年に転機が訪れた。

「鳥取県の平井伸治知事と、私たちが取り組む認知症予防について話をする機会がありました。そこで重要性を認めてもらい、補助金を受けられるようになったのです」(浦上氏)

 そしてその年、県下の伯耆町をモデルとしてMCI患者約140人を対象にした実証実験が行なわれた。

【図1】6か月のプログラムで認知機能が回復した

【図1】6か月のプログラムで認知機能が回復した

「対象者を約70人ずつ2つのグループに分け、1年4か月にわたって検証しました。それぞれのグループに時期を分けてプログラムをこなしてもらうというものです。どちらのグループも、プログラムを通して認知機能が向上することが分かりました(別掲図1)」(浦上氏)

 

関連キーワード

関連記事

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン