あくまでも知名度を上げるためのステップアップの一つとして賞レースを捉えるのであれば、すでに世間からの評価を確立したゆりやんには必要がないように見えるかもしれない。ではなぜ、彼女はアスリートのように戦いに挑み続けているのだろうか。お笑い評論家のラリー遠田氏は、その意義をこのように解説する。
「ゆりやんレトリィバァさんは、ああ見えて意識が高いストイックな芸人です。バラエティ番組ではどんな状況でも細かいボケをねじ込んでくる度胸があるし、タレントとして有名になってからも相変わらず新しいネタを作り続けています。最近、大幅なダイエットに成功したのもそんな意識の高さの表れでしょう。賞レースに出続けているのも、そんな彼女にとっては当たり前のことなのだと思います」
賞レースに挑み続ける理由について、ゆりやん本人はインタビューで「自分を更新していきたいから」と語っていたこともある。コンテストで優勝するかどうかは、最終的な目的ではなく、あくまでもストイックに自分を更新するための過程の一つなのだろう。そしてそのように彼女が自分自身と勝負し続けることこそが、新しい世代の女性ピン芸人の像をも更新することに繋がっていくのかもしれない。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)