スポーツ

3.25サッカー日韓戦開催決定の報に違和感を拭えなかった理由

サッカーで最後の日韓戦は2019年12月のEAFF E-1サッカー選手権だった(Penta Press/時事通信フォト)

サッカーで最後の日韓戦は2019年12月のEAFF E-1サッカー選手権だった(Penta Press/時事通信フォト)

 日本サッカー協会(JFA)は、日本代表が3月25日に日産スタジアムで国際親善試合を韓国代表と行うと3月10日に発表した。横浜市港北区にある日産スタジアムは、もちろん緊急事態宣言が3月21日まで延長された一都三県にある。何もないときであれば、サッカー日韓戦ともなれば、勝敗の行方だけでなく出場メンバーの品定めなど、ありとあらゆる話題で試合へ向けて盛りあがる一方だが、今回は戸惑いの声が大きい。俳人で著作家の日野百草氏が、この日韓戦をきっかけに上向きムードに変わって欲しいと願う広告代理店社員と、その前向きさに対する違和感はどこからくるのかについてレポートする。

 * * *
「まさか日韓戦が決まるとはね。関係者はホッとしてるでしょう」

 電話口の広告代理店社員、市橋丞一さん(30代、仮名)に電話を掛けると嬉しそうな声が弾ける。筆者の編集者としての後輩に当たるが、大手教育関連企業を経て代理店に籍を置いている。大手ではないがそれなりに手広く手掛けている代理店だが、エンタメ関連のイベントに精通しているのでオタク関係含め、業界の情報源として重宝している。日韓戦が決まったことを聞きつけ、いの一番に連絡をとった。

「うちなんかコロナの自粛で壊滅ですよ。演劇とかコンサートなんか全然です。なのに日韓戦、すごいですよね」

 コロナ禍でイベント関連は青色吐息、もはや存亡の危機と言ってもいいが、スポーツに関してはオリンピックイヤーでもあり、徐々に復調の兆しを見せている。

「プロ野球もJリーグも去年に比べれば平常運転でしょう。観客を入れる入れない、どれだけの数を入れるかの問題はあっても、去年に比べたらマシです。スポーツは演劇やコンサートに比べれば大きな力も働きますし、オリンピックだって控えてる」

 思い返せば緊急事態宣言の期間延長が繰り返されるコロナ禍、イベントと大きく括れば、プロ野球とJリーグというイベントは半ば強行されてきた。高校野球など春の全国大会は中止、夏の全国大会も各地で代替開催となったがプロ野球は3ヶ月遅れながら開催された。昨年の拙筆『高3でレギュラーを掴んだ球児の父が語る「夏の代替試合」』でも触れたが、非常事態とはいえ二転三転した昨年の高校球児、とくに3年生はかわいそうだった。その扱いの違いをいまさら問わないが、納得できない人も多かった。

「あれは本当にかわいそうでした。高校サッカーはなんとかできただけにね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン