作家の江上剛氏(67)は「名刺」の9割を捨てたと言う。
「49歳の時に銀行を辞めて物書きになりましたが、過去を引きずっていたら新しいスタートができないと思い、まずは大量に溜まっていた名刺をバサッと捨てました。“江上剛”というペンネームの新しい人生に、素のままで付き合ってくれる人の名刺だけを残しました。
銀行マン時代には600枚ほど出していた年賀状の習慣も60歳手前でやめました。今はもう自分からは出さず、相手から来るだけ。お返しの年賀状も一切出していません」
組織や会社を離れたら、視点を変える必要があると江上氏は言う。
「それまでの“仕事で役に立つか”という視点を捨てて、“人生を豊かにしてくれるか”という視点を持つ。リタイヤ後は過去のことから離れたほうが楽しい。私自身、会社人としての付き合いを一切しなくなると、余計なしがらみがなくなり、身軽になりました」
※週刊ポスト2021年4月9日号