テレビに出た医師もターゲットに
検査で陰性だったのにひどい扱いを受けたのは、中国地方在住の主婦Aさん(50代)。昨年10月、埼玉県で経営する飲食店がコロナで閉店した弟(40代)が、Aさんの住む実家に身を寄せた。
「その後、弟さん夫婦が切り盛りしていた飲食店が集団感染した地域にあったことがなぜか地元に漏れ伝わり、差別が始まりました」(Aさんの知人)
所定の場にゴミを出すと「感染が怖いので自宅で処分してください」というメモとともに玄関先に戻され、近所のスーパーや個人商店に行くと「来店はお断りします」と門前払いされた。
「郵便受けには、『早く出ていけ』と書かれた紙が張られて、無言電話が鳴りやまなかった。家族全員がメンタルをやられて、1か月もしないうちに弟さん夫婦は県外の親戚のもとに再引っ越ししたそうです」(前出・Aさんの知人)
新型コロナについてテレビで積極的に発言する医師の倉持仁さんも凄惨な嫌がらせを受けた。1月中旬、倉持さんが院長を務めるインターパーク倉持呼吸器内科(栃木県宇都宮市)に封筒に入ったカッターの刃が送り付けられ、別の日には《コロナが拡大したのは、インターパーク内科がテレビに出たため、責任とって下さい》と書かれた紙が病院の駐車場に張られたのだ。
「個人情報を流されたり、内容があまりに誤っている場合は弁護士を通じて訴えます。栃木県でも感染すると引っ越しを余儀なくされるケースが発生しており、感染を知られたくないから後遺症の通院治療を断念する患者もいて心配です。都心部では隣の家の人すら知らないことも多いので、そこまで直接的な誹謗中傷が起こらないのかもしれません」(倉持さん)
第4波で差別の波が広がらぬよう、一人ひとりの心構えが大切になる。
※女性セブン2021年4月15日号