山口は自叙伝『蒼い時』に、その頃の心境を〈実際、ふたりとも本当の姉妹のような気持ちになっていた〉と綴っている。だが次第に、マスコミが作った対立構図が2人を引き裂いていく。『蒼い時』はこう続く。
〈マスコミは一様に私たちをライバル視しはじめていた。そのことに抵抗すべく、さらに親しくしていると「親友を装っている」と言われてしまった。「気にするの、よそうね」と言いながらも、やはり周りには勝てなかった。やがて彼女には彼女の世界ができ、それは私のその世界とは接点のないものになってしまった〉
それでも2人の友情は変わらなかったという。
「百恵さんが1980年に引退するまで、2人はお互いにライバルという存在を持てたことへの感謝の気持ちがあったし、それはその後も変わらないでしょう。今でも2人が手紙のやり取りをしているという話も聞いています」(酒井氏)
今なら周囲に気兼ねすることなく、旧交を温められることだろう。
※週刊ポスト2021年4月16・23日号