「子どもを望んでいたのに叶わなかった場合は、自分の気持ちを消化するのに時間はかかるでしょう。人によっては、一生、子どもをもてなかった思いを抱えて生きていくかもしれません。ただ、それは内側にある自分自身の問題。外側にある世間や社会から、子どものいない人生はかわいそう、寂しいといわれるほうがしんどい、と感じることがあるのです」

 自分と異なる立場の人を尊重することは、多様性の時代に必要な心得。くどうさんが執筆にかかわった『まんが 子どものいない私たちの生き方 おひとりさまでも、結婚してても。』(小学館)には、そんな子どものいない女性、約 500 人の声が反映されている。

 不妊治療 を終えた専業主婦、年下と結婚した晩婚妻、独身で会社員の氷河期世代、子どもは苦手な派遣社員、夫が男性不妊の公務員といったさまざまな立場から、モヤるシチュエーションや、いわれてヒリヒ リした出来事など、リアルな日常が描かれている。

「子どものいないことで感じる“モヤモヤ”、誰にも打ち明けられない本音、内に抱えたな哀しみ、トホホな現実。子どものいない女性は自分の思いを沈めて日々を過ごしていますが、本当は私たちの生きづらさに気づいてほしいと思っています」

『まんが 子どものいない私たちの生き方』より

『まんが 子どものいない私たちの生き方』より

 これまでは結婚して子どもをもつ生き方がスタンダードとされてきたが、近い将来、女性の3人に1人が子どもをもたないと推測されている(日本の将来推計人口 国立社会保障・人口問 題研究所より)。

「子どものいない私たちも、わかってもらえないと嘆くばかりではなく、自分たちの思いを伝えて理解を深めてもらうことも大切です。子どものいない女性に寄り添い、活動を続けること8年。当初はタブー感が強く、堂々と語れる雰囲気ではありませんでしたが、少しずつ時代が緩み、子どものいない人生も多様なライフコース のひとつとして、メディアでも取り上げられる機会が増えてきました。

 当事者だけでなく、さまざまな立場の方々にも子どものいない女性の思いを知ってほしい。これまでは文章で伝えてきましたが、場面や心情が伝わりやすいよう、前出の最新自著では、まんがにしました。登場する6人のキャラクターは自分に似ているかもしれないし、周りにいる誰かかもしれない。そういう目線で読めば、きっと相手に対して優しい心遣いができるはずです」

 自分と異なる立場の人を尊重することは、多様性の時代に必要な心得。子どもがいても、いなくても、おひとりさまでも、結婚してても、生き方に優劣はないのだから。

【プロフィール】くどうみやこ/(大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー) 東京都生まれ。大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。近年は、自身の体験から子どもをもたない大人のマーケットに着目。子ど ものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。著書に『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』『誰も教えてくれなかった 子どものいない女性の生き方』(ともに主婦の友社)など。 

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