細身の佐々木を鍛え上げた「鬼練習」

 佐々木が「あれは本当にキツかったです」と今も思い出すのが、鍛冶舎が考案した独自の打撃練習メニュー。

県立岐阜商業時代の佐々木(時事通信フォト)

県立岐阜商業時代の佐々木(時事通信フォト)

 グラウンドに一列に5箇所のバッティングゲージを作り、両脇は打撃投手が投げる生きたボール。内側に3台のマシンを並べ、右投手のスライダー、左投手のカーブ、そして真ん中には15mほどの距離から145kmのストレートが設定されている。それぞれタイプの違うボールを10球ずつ打って4周する。

 打席を待つ間にも、スイングスピードを測定しながら素振りをしたり、重いバットを使ったティーバッティングや、エアロバイクなどの器具を使っての有酸素運動と、サーキットトレーニングさながらに、休むことなく何時間も動き続ける。

「やっているうちに頭の中に酸素が回らない状態になって、バットを振る力もなくなってくるから、無意識のうちに脱力して構えてボールを捉える時だけグッと力を入れられるようなスイングが身についた気がします」

 佐々木はそう言う。細身だった身体に筋力が付き、スイングスピードも飛躍的にアップ。それがホームランの増加につながったのだろう。通算本塁打は2年生の夏には20本を超え、試合のたびにグラウンドに足を運ぶスカウトの数も増えていった。

「2年生の秋の段階で、プロ野球全球団から佐々木の進路に関する問い合わせがありました」と鍛冶舎。評価については球団によってバラツキがあったが、それでも「攻守走3拍子揃った好素材」という見方は一致していた。

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