意外に知らないタワマンと一般マンション「構造の違い」

 多くの人が、テレワークのための「プラスひと部屋」を求めて湾岸の中古タワマンを購入した。湾岸の中古タワマンの価格は、中堅所得者が購入できるレベルにあったのだ。

 当たり前だが、中堅所得者は毎日仕事をする人々である。ところが、タワマンの建物構造は365日24時間、そこに人が生活し続けるには何かと不都合なのである。

 いちばんの問題は隣戸との騒音問題だろう。あまり知られていないことだが、タワマンと普通のマンションとは、同じ構造の建物と呼べないほどの大きな違いがある。例えば、タワマンの場合は隣戸との間を仕切る壁に鉄筋コンクリートが使われていない。

 タワマンの住戸間を仕切っているのは「乾式壁」と呼ばれるもの。分かりやすく言えば石膏ボードの間に遮音や断熱材を挟んだような構造。工場で製造されたものを、現場に運んで嵌め込むのだ。当然ながら床と天井に接合部ができる。

 普通のマンションは戸境壁も鉄筋コンクリートだから柱や床、天井ともアナログ的に連続している。方や乾式壁はモノが軽い上に接合部がある。接合部の施工精度が低いと、マニュアル通りの遮音性が得られない。

 一例をあげると、隣戸で掃除機をかけていると気配が伝わる。物件によっては、くしゃみの音さえ聞こえるという。

 そのことを知らずに、湾岸の中古タワマンを購入した人は多いことだろう。緊急事態宣言下だと、隣人も24時間住戸内にいる場合が多いはずだ。私が聞いたところでは、多くの人が隣戸から流れてくるテレビやYouTubeなどの音などに悩まされたそうだ。もちろん、小さな子どもが走り回る気配や、叫ぶ声も伝わりやすい。

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