「違法な深夜店の多くは、本当にこっそりやっているんです。でも桜井さんの場合本当に堂々としていた。そんなにお金儲けしたいのかとあきれる一方、心臓に毛が生えているのではないかと、ある意味で彼女を尊敬する業界人もいたほどです」(佐々木さん)
一介の読者モデルから、かなり強引な方法とはいえ、一気にスターへの階段を駆け上がったようにも見えた。注目を集めるための自己プロデュースに熱心で、整形手術後の腫れ上がった顔の写真をSNSに上げるなど、刺激的すぎる桜井の「情報発信」は耳目を集めることになり、ついには「キャバクラ経営者」として、ビジネスの世界にも参入する。そしてそこでも、きな臭い噂が業界を巡っていた。
「桜井さんがキャバクラの経営者になったという話が流れましたが、新規で法人を立ち上げ店をオープンする、というのはそんなに簡単ではない。まして(深夜店として営業という)違法行為を堂々と行っている桜井さんですから、なんかおかしいよね、と話していました」(佐々木さん)
違法な営業を堂々と行っている人間が、適法の証である営業許可を持つ法人をどうやって起業したのだろうかと誰もが思っていたのだ。実際、佐々木さんたち業界人の予感していたようにキャバクラの「無許可営業」で桜井が逮捕されたとき、そのからくりの一端が垣間見えた。
桜井は、風営法に則った既存店の運営法人を買収する形で、ビジネスに参入していたのだ。買収した法人の代表には第三者をたて、自身は実質的経営者として、その背後で従業員や役員に指示を送っていたと見られている。他にも、いわゆる「名義の貸し借り」を行っていたのではないかとささやかれている。
それにしても、どんな人が代わりの代表を引き受けたり、名義の貸し借りに応じていたのだろうか。
「桜井さんの店は、風営法なんかお構いなしでしたからね。そんな違法店の運営に関わりたい人なんていません。協力者もそれなりにいたようですが、やっぱり余りに強引すぎて、人が離れていくようなことも珍しくはありませんでした」(佐々木さん)
強引な営業のひとつとして、コロナ禍以降も、かなり堂々と店舗営業を続けていたことがあげられる。世間からのバッシングを避けるために、営業をしても看板に明かりをともさず、常連にだけ個別に連絡してこっそり営業する闇営業スタイルが多かったのに対し、桜井の店は煌々と明るく看板や照明をつけ以前と変わらぬ賑やかな店先のままだった。同じく新宿・歌舞伎町の有名店に勤務する現役ホストが打ち明ける。
「一年ほど前、ホストクラブやキャバクラで感染者がたくさん出て、マスコミや役所、SNSで相当叩かれました。ほとんどの店はそこから営業を自粛したり営業時間を短縮したりしましたが、桜井さんの店だけは別。一時期は週に何度も桜井さんの店に警察がやってきてました。さすがに逮捕されるだろうと見にいったんですが、警察は何もしないで帰るばかり。桜井さんはお金持ちだし、権力者と仲良くなって好き放題やっているのでは? なんて言う人もいるほどでした」(歌舞伎町の現役ホスト)
しかし2021年2月、違法営業中の桜井の店を再び訪れた警察の様子は、それまでのものとは全く違っていたという。