ビジネス

ソニーとパナソニック レガシーの継承か破壊かで明暗分けた「社長の評価」

二人三脚で経営の立て直しをしてきた平井一夫・前社長(左)と吉田憲一郎・現社長(2018年の社長交代会見/EPA=時事通信フォト)

二人三脚で経営の立て直しをしてきた平井一夫・前社長(左)と吉田憲一郎・現社長(2018年の社長交代会見/EPA=時事通信フォト)

 上場企業の2021年3月期決算が出揃った。2020年度はコロナに明け暮れた1年だったため、各社決算は惨憺たるものになるかと思われたが、フタを開けてみれば全社の純利益の合計は、昨年より5兆円あまり増え、28兆円となった。

 もっともこれは、日本企業として過去最大の純利益を上げたソフトバンクグループ(SBG)の5兆円が大きく寄与している。SBGは2020年3月期に1兆円に近い最終赤字を出しているから、1年で6兆円改善するという史上最大のV字回復となった。

 SBGに次ぐのは、長らく純利益ランキングのトップに君臨してきたトヨタ自動車の2.2兆円で前々期より1割増えた。そしてこの2社続くのが、前3月期で初めて純利益が1兆円を超えた(1兆1700億円)ソニーグループ(ソニーG、4月1日にソニーから社名変更)だ。前々期の純利益5800億円の約2倍という好決算だった。

10年前は最悪の状況だったソニー

 ソニーの利益が大きく伸びたのはコロナ禍による巣ごもり需要により、ゲーム部門が大きく伸びたためだ。同部門の営業利益は3400億円で、全体の3分の1を占める。

 このほか、金融部門、音楽部門も1000億円以上の営業利益を計上、これに祖業ともいえるエレキ部門(家電+電子部品)の営業利益2800億円が加わるなど、全事業分野でそれぞれ利益を上げたことが純利益1兆円につながった。

 決算発表の席で十時裕樹副社長兼CFOは、「最終利益の1兆円達成は10年単位での積み重ねによって実現したものだ」と語ったが、この言葉に、ソニーの好調の理由が凝縮されている。

 10年前のソニーは最悪の状況にあった。2008年のリーマンショックで明らかになったのは、すでに日本の家電メーカーが世界市場では負け組に転落しているという事実だった。ソニーのテレビ事業は9期連続で赤字を計上、それもあってエレキ事業全体でも赤字を垂れ流し続けた。そのため2012年には、当時のハワード・ストリンガーCEOが指名委員会の支持を得られず、事実上解任されている。

 この人事を受け新社長に就任したのが、2018年までCEOを務めた平井一夫氏だ。平井氏はエレキの再建を掲げ、現在の社長、吉田憲一郎氏と二人三脚で経営にあたる。

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン