上司はストレスの種か、ストレス解消のもとか
この2つの法則を合わせて考えてみよう。ザイアンスの動因理論でいう他者の存在という動因を、人間関係から生じるストレスと捉えれば、テレワークのパフォーマンスは、そのストレス次第ということになるだろう。ただし、人間関係のストレスの感じ方は人それぞれだ。
たとえば、職場に口うるさい上司がいたとしよう。テレワークで、この上司と毎日会わなくてよくなったら、パフォーマンスは上がるだろうか?
部下の中には、この上司を「面倒な人」と否定的に感じる人もいれば、「面倒見のよい人」と肯定的に考える人もいるはずだ。つまり、部下によって、この上司はストレスの種にもなれば、ストレス解消のもとにもなるわけだ。
テレワークを導入すると、前者は、この上司と顔を突き合わせなくて済むので、それまで感じていた余計なストレスが解消される。この人が、プログラミングやデザイン設計のような複雑な作業をする場合、パフォーマンスは上がるだろう。
逆に、後者は、この上司との無駄話ができず、それまでに感じていた適度なストレスが失われてしまう。こういう人が、データ入力のような簡単な作業をする場合、オフィスで働くときよりも、テレワークのほうがパフォーマンスは下がってしまうだろう。
要は、上司から受けるストレスと作業の内容次第で、テレワークの仕事は、はかどることもあれば、滞ることもあるということだ。