芸能

村上弘明 名匠・工藤栄一監督からの「俺の言うとおりに」の言葉

村上弘明が工藤栄一監督からの言葉を振り返る

村上弘明が工藤栄一監督からの言葉を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、必殺シリーズで初めて出会い、その後も長い付き合いとなった時代劇の名匠・工藤栄一監督について語った言葉を紹介する。

 * * *
 村上弘明にとって、時代劇の名匠・工藤栄一監督は「師」とも呼べる存在であった。

『必殺仕事人V激闘編』(一九八五年、朝日放送)で出会って以来、さまざまな作品を共に作ってきた間柄だった。

「『必殺』で演じた『花屋の政』が鍛冶屋に職替えしたのは工藤さんの提案らしいです。『あいつは体がいいから、肩を出して野性味を強めた方がいい』と。

 劇場版の時は、特にしごかれました。でも、後になって当時の映像を観ると──いいんです。必死さ、ハードな感じがよく出ていて。それはやはり、工藤さんの演出のおかげだと思っています。

『お前は下手なんだから、俺の言う通りにやれ。そうしたら、うまく見せてやる』とはよく言われました。

 テレビ東京の『大忠臣蔵』(八九年)が初めての侍役でしたが、あれも工藤さんが監督でした。侍だし、今度はいよいよ中剃りだな──と思っていたら、結髪さんの所に工藤さんがやって来て、『いや、村上は地毛でいくから』って言うんですよ。かつらは付けずに、自分の頭頂部に前髪を使って髷を付ける。よかった──と思いましたね。

 晩年に『新選組血風録』(九八年、テレビ朝日)でご一緒したことも印象に残っています。

 シーンのラストの、僕が思いに耽るカット。テストの最中、『そこ! その角度がいい。それを覚えろ』って言うんですね。

 本番が終わると、『村上、ちょっと来い』と。やはり『俺の言う通りにやってれば、お前はいい役者になるぞ』とボソッと語ってくれました。

 それが僕にとって、工藤さんの最後の言葉になりました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン