国際情報

G7で相手にされなかった文在寅大統領の悲しき自己陶酔ブログ

高くついた「避暑地のバカンス」(PA Images/時事通信フォト)

高くついた「避暑地のバカンス」(PA Images/時事通信フォト)

 EU(欧州連合)離脱後、イギリスにとって最初の外交ビッグイベントだったG7首脳会議は、欧米主導の反中国ブロック構築の場となった。案の定、中国は「小さなグループが世界の事案を決める時代は遠い昔に終わった。エセ多国主義以外のなにものでもない」(在英中国大使館)と激しく反発した。

 ホストのボリス・ジョンソン英首相は、今回のサミットに旧英連邦のインド、オーストラリア、南アフリカ、さらに韓国をゲストとして招いた。豪印は日米主導のインド太平洋クアッドの参加国、韓国はアメリカがクアッドに参加させたい第一候補だ。

 招待状を受け取った文在寅氏は小躍りした。韓国の大統領がG7サミットに招かれるのは今回が初めて。文氏は意気揚々と英南西部のコーンウォールに乗り込んだ。風光明媚な避暑地で、アガサ・クリスティの推理小説の舞台にもなった場所だ。

 ところが、その期待は見事に裏切られた。文氏はG7サミットのメンバーズ・オンリーの正式会議にも、エリザベス英女王との面会にも参加は許されなかったのである。出られたのはG7首脳とゲスト4か国首脳が自由と人権について意見交換するセッションだけ。サミット恒例の首脳が一堂に会す記念撮影にも招かれなかった。

 当然、世界中から集まったメディアも文氏の言動についてはほとんど報道しなかった。唯一、ニュースネタにしようと待ち構えていた菅義偉・首相との日韓首脳会談も、ジョー・バイデン米大統領を仲介役にした日米韓首脳会談も実現せず。日韓以外の報道では、まるで文氏はそこにいなかったような完全無視に終わった。

 サミットに花を添えたのは、エリザベス女王とバイデン大統領夫人のジルさんだった。女王は各国首脳7人との写真撮影で、横に立つジョンソン氏に「楽しそうにすべきかしら」とユーモアたっぷりに尋ねて雰囲気を和らげ、ジルさんは背中に「LOVE」と書かれた濃紺のジャケットを着て、「アメリカから愛を届けに来ました」とG7の連帯と団結を呼びかけた。教育学博士の面目如実といったところだ。それに比べて文在寅夫人の金正淑(キム・ジョンスク)さんは全く見せ場がなかった(もっとも、菅真理子夫人も出番はなかったが)。

 とまあ、イギリスまで恥をかきに行ったような文氏だったが、のこのこ出かけていったのには伏線があった。ジョンソン氏は反中網を広げるために準経済大国であるオーストラリア、インド、南アに加え、韓国を誘い込む必要があると考え、それにバイデン氏が賛同した。アメリカは、5月の米韓首脳会談で韓国に「台湾海峡」条項を飲ませ、中国離れの「証文」を書かせた。そのうえでクアッド入りを促す戦略を描いていた。

 ところが、サミットへの韓国招待に日本が反対し、独仏伊も追随しかけた。4か国は、サミットの拡大よりも「G7のタガを締める」ことを優先すべきと主張していた。むろん日本にとっては、G7で唯一のアジア代表という地位へのこだわりがあったし、日韓の確執も背景にあっただろう。最終的に米英のプランが通ったわけだが、反対した各国への配慮から、韓国は“呼ばれはしたけど蚊帳の外”という屈辱的な扱いを受けることになった。

 G7閉幕後、文氏はブログでこう述べた(一部抜粋)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン