ビジネス

【試乗レポート】日産の第3世代「ノート」 強気の価格設定でも販売が好調なワケ

「ノート X FOUR」(日産グローバル本社にて)

「ノート X FOUR」(日産グローバル本社にて)

 ハイブリッド専用モデル化で実勢価格が大幅に上がったことが話題となった日産自動車の主力コンパクトカー、第3世代「ノート」が予想外の売れ行きで健闘している。果たしてその人気は本物なのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗レポートする。

 * * *
 2020年12月に8年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たした日産のサブコンパクト乗用車「ノート」。

 発売から今日までの序盤戦における普通車販売ランキングの最高位は今年3月の4位。通常は6位ないし7位が定位置というところだが、ハイブリッドカーという括りでみるとホンダ「フィット」を置き去りにし、トヨタ「ヤリス」および「ヤリスクロス」とトップを争う“三強の一角”を占めているのだ。

日産にとって久々の「勝ち点」

 第3世代ノートが高価というのは鉄板であろう。ファクトリーチューンモデルのAUTEC(オーテック)を除くと、素の価格は最安グレードが205.4万円、AWD(4輪駆動)のトップグレードでも244.5万円と、それほど高いようには見えない。だが、これにはカラクリがある。

 クルーズコントロール機能を持つ運転支援システム「プロパイロット」がカーナビなどと抱き合わせで42万円、LEDヘッドランプがアルミホイールや本革シートなどと抱き合わせで33.5万円と、人気を得られそうな装備がパッケージオプション化されたのだ。

 244.5万円のAWD最高グレードにこの2大装備を加えると、車両価格は実に320万円ほどになる。これは車格が1つ上のトヨタのステーションワゴン「カローラツーリング」のハイブリッドAWDを同等装備にしたものと同じか、少し高いくらいである。

インパネからダッシュボードにかけて。デザイン性は悪くない

インパネからダッシュボードにかけて。デザイン性は悪くない

助手席からダッシュボードを望む。試乗車にはオプションの本革シートが装備されており、タッチは柔らかかった

助手席からダッシュボードを望む。試乗車にはオプションの本革シートが装備されており、タッチは柔らかかった

シフトセレクタはバイワイヤ式

シフトセレクタはバイワイヤ式

 ノートが高くなったワケはハイブリッド化だけでなく、クルマの構成部品を旧型の新興国向けから先進国向けの高性能なものに変更したということにもあるが、それを加味しても強気な価格設定だ。

 ノートの販売台数は日産の目標である8000台/月には及んでいない。が、これはいくら何でも目標が欲張りすぎだったと言うべきだろう。この価格でノートを売り、それを一定数の顧客が受け入れたということは、経営危機に苦しむ日産としては久々の「勝ち点」と言っていいところであろう。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン