芸能

菅原文太から宇梶剛士への言葉「どうしても許せなかったら暴れたらいい」

菅原文太さんからの箴言とは(写真/共同通信社)

菅原文太さんからの箴言とは(写真/共同通信社)

 昭和の「カリスマ」の弟子を自負する者たちにとって、師の箴言は決して色褪せない。俳優・宇梶剛士は菅原文太さんの言葉に今も支えられているという。宇梶が菅原さんの思い出を振り返る。

 * * *
 初めてオヤジ(菅原文太)と出会ったのは、19歳になる直前。歌手のにしきのあきら(現・錦野旦)さんの事務所で付き人をしていて、お使いで台本を取りに行った時のことでした。

 応接スペースでオヤジが鶴田浩二さん、東映プロデューサーの俊藤浩滋さんと打ち合わせをしていたので、台本だけ受け取って引き上げようとすると、背中からオヤジが「お前さんは何者だ?」と声かけてきたんです。

「俳優志望ですが、どうすればなれるのかわからないので、(にしきのさんのところで)お手伝いさせてもらっています」

 そう答えると、オヤジがその場でにしきのさんの事務所に電話をかけ、「おたくのところの若い大きい奴、もらっていいか? ああ、そう、はい」と言って電話を切った。

「ということで、いいか?」と聞かれ、オヤジの付き人になりました。

〈宇梶は高校中退後、暴走族の総長として鳴らした。だが、少年院で改心し、定時制高校に通いながら俳優への道を模索していた〉

 ワルだったことは、自分からは言いませんでしたよ。俳優の道に進もうと決めてからは、パンチパーマに特攻服ではなく、七三分けのサラサラヘアにし、服装にも気をつかっていました。

 それでも噂が耳に入ったんでしょうね。ある時、「お前、グレてたのか?」と聞かれた。「ハイ」と正直に答えると、オヤジはこう言ったんです。

「この世界は、自分にどんな理由があっても、暴力を振るえば退場だ。暴力は悪だ」と。いちおう「ハイ」とは答えましたが、内心、“オヤジも大人みたいなことを言うんだなぁ”と思いました。僕はまだ若くて、大人に対する不信感や怒りが解けていない時期でしたから。でも、オヤジが続けて口にした言葉が、僕の胸に刺さりました。

「だがな、どうしても飲めない、許せないと思うことがあったら暴れたらいい。そして、去れ」

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン