国際情報

仮想通貨禁止令で相次ぐ中国採掘業者の海外脱出 発電所売買も活発

あ

世界シェア5割以上を占める中国マイニング業者の海外移転が始まっている

 これまで、暗号資産(仮想通貨)への取り締まりを度々強化してきた中国当局が6月中旬、内モンゴル自治区や青海省に続き、四川省でも暗号資産のマイニング(採掘)の規制強化を発表した。これを受け、中国ではマイニング業者の廃業や移転が相次ぎ、様々な混乱も広がっているという。中国の経済、社会に詳しいジャーナリストの高口康太さんがリポートする。

 * * *
「水力発電所売ります!発電機2台で合計出力は1000キロワット。お値段は888万元(約1億5000万円)です!!!」
「出力160キロワットの水力発電所売ってます!書類そろってるんで合法物件ですよ」

“中国版メルカリ”こと、中古品売買サイトの閑魚(シエンユー)で水力発電所が売られている。日本のメルカリもいろんな品物がそろっているが、さすがに発電所は売っていない。というか、アプリで発電所を買おうという人もいないだろうから、出品しても無駄だろう。さすが中国、スケールが壮大というかなんというか……。

 もっとも、さすがの中国といえども、中古品販売サイトに水力発電所が出品されるのはそうそうあることではない。ところがこの1か月ほど急に出品が続いたという。一体何が起きているのだろうか?

 答えは意外なところに結びつく。ビットコインをはじめとする暗号通貨だ。

 暗号通貨はマイニングと呼ばれる作業によって運用されている。コンピューターによってきわめて難易度の高い数学的パズルを解くことを指すが、これにより安全な取引が保証され、新たな暗号通貨が生成される。

 中国は世界一のマイニング大国だが、マイニングにはとにかく膨大な電力が必要となるため、電気代が安い地域を移動している。冬は内モンゴル自治区の石炭発電か、新疆ウイグル自治区の天然ガス発電に頼り、夏の増水期になると水力発電所が豊富な四川省へと移動する。四川省はチベット高原に隣接しており、水が豊かな土地だ。ここで小さな水力発電所を買って、マイニングにいそしむ事業者が多かったという。

 マイニングのためのコンピューターはコンテナに詰め込まれており、トレーラーで簡単に移動できるようになっている。年に2回、季節の変わり目には四川省と内モンゴル自治区の間を暗号通貨キャラバン隊が大移動するわけだ。このキャラバン隊に同行するのが筆者の夢だったのだが、どうやら実現できずに終わりそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン