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「夏マスク」と「誤嚥性肺炎」の危ない関係 ワクチン接種後も要注意

夏場のマスクにはコロナとは別の「怖い病気」を招くリスクも(イメージ)

夏場のマスクにはコロナとは別の「怖い病気」を招くリスクも(イメージ)

【NEWSポストセブンプレミアム記事】

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む一方、接種後に感染するケースもあり、まだまだマスクが外せそうにない。ただし、夏場のマスクにはコロナとは別の「怖い病気」を招くリスクがあることも知っておきたい。

 ステイホームやマスク着用などの習慣化によりインフルエンザをはじめとするほとんどの呼吸器系疾患の患者数・死者数が減る一方、死者数が増加している疾患があった。それが「誤嚥性肺炎」である。

 厚生労働省が6月に公表した人口動態統計月報年計(概数)によると、2020年の誤嚥性肺炎による死者は、前年比約2400人増となる4万2746人。

「長引くマスクの着用が誤嚥性肺炎の死者を増やした可能性があります」と指摘するのは、東京国際クリニック(歯科)の清水智幸院長だ。

 誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物などに含まれる口内の細菌が、誤って肺に入ることで起こる。原因は、ものをうまく飲み込めなくなる嚥下障害、加齢や病気による体力や抵抗力の低下のほか、「口内環境の悪化」が挙げられる。

「人は1日約1.5リットルの唾液を分泌しており、これにより口内の殺菌・洗浄がなされています。しかし、感染防止のために長時間マスクを着用していると、息苦しさからどうしても口呼吸になりがちで、口の中が乾燥して唾液の分泌量が減り、口内に細菌が繁殖しやすくなる。これらの細菌が唾液に混ざり肺に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こします」(清水院長)

 長時間マスクを着用すると息がしにくくなったり、口の中がネバネバして口臭がきつくなる。これらは口内環境が悪化しているサインなのだ。しかも、これからの季節はそのリスクが高まるという。

「夏場は暑さゆえの息苦しさで口呼吸の頻度が上がるので、口内環境はいっそう悪化しやすくなる。対策として水分補給が重要になりますが、マスクを人前で外すことに気が引けたり、頻繁な取り外しが億劫になることで、水分摂取を怠ってしまう人も増えている。夏場のマスク着用によって、口内が細菌の格好の生息地となってしまう危険性があるんです」(同前)

声帯の筋肉が衰える

 マスク着用が誤嚥性肺炎の原因となる「嚥下力の低下」も招くとの指摘もある。みらいクリニックの今井一彰院長が語る。

「もともと高齢者はのど周りの筋肉が衰えて喉頭の働きが悪くなり、食べ物をのどから食道まで運ぶ嚥下機能が低下しがちですが、マスク着用で顔の表情筋を使わなくなると、連動して口周りやのどの筋肉も衰えていく。

 またマスクをしながらだとコミュニケーションが取りにくいという理由で、会話そのものが減少していることも問題です。発声には口、舌、顎、のど、声帯の動きが必要ですが、日頃から発声しないとこれらの動きを支える筋力が衰えて、食べ物や唾液をうまく飲み込めなくなります。その結果嚥下力が弱くなり、誤嚥性肺炎を発症しやすくなる」

 自分の嚥下力をチェックする方法として、反復唾液嚥下テストがある。30秒間に何回唾液を飲み込むことができるかを計るもので、3回できない場合はのどが衰えている状態だとされる。

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