新天地のロッテで求められる手腕
直近4年間社長を務めたデジタルハーツHDでは、ファーストリテイリングやローソンに比べて企業規模が落ちるため、あまり話題に上ることはなかった。が、デジタルハーツHDの在任4年の決算数字を見る限り、4期連続増収だった半面、3期連続営業減益で前期のみ増益で着地と、通信簿としては微妙だ。
そして今回のロッテHDへの転身。ファーストリテイリング同様、ロッテHDも重光一族という創業家が君臨している。会長と社長を兼務してきた重光昭夫氏が会長職に専念し、日本でのロッテ事業は全面的に玉塚氏に任せる分業体制だとすれば、同じオーナー系企業でも、ファーストリテイリングよりやりやすいかもしれない。
ただ、重光兄弟の対立が長引いているうえ、創業家の経営者はサラリーマン経営者以上に貪欲で、より高いハードルを課して結果を求める点は、ファーストリテイリングの柳井氏と同じであろう。
玉塚氏のミッションは、グループ中核のロッテ(売上げ規模は約2300億円)の株式上場を果たすこととも指摘されている。コロナ禍で在宅勤務が増えたため、事業面では、たとえばアサヒグループ食品の「ミンティア」やクラシエフーズの「フリスク」といった他社のタブレットが不振だったのと同様に、菓子事業の中でもロッテが強いチューインガムは低調だ。
また、チョコやアイスといった分野も明治や森永製菓などの大手が立ちはだかる。かつてCEOも務めたファストフードのロッテリアもしかりで、日本マクドナルドやモスフードサービス、外資系バーガーチェーンなど強力なプレーヤーがひしめいており、玉塚氏がロッテの事業でいま以上にプレゼンスを上げていくのは簡単ではない。