主人の先輩2人が立て続けに亡くなった時に、それを報じた記事のフレーズに怒っていました。「なんで“力尽きた”という言葉を記者は簡単に使うんだ」と。そして「力尽きたんじゃなく、その時まで病気と共存しながら一生懸命に生ききった。病気に負けたような書き方をしてはいけない。自分がそうなった時も、その言葉だけは使ってもらいたくない」と語っていました。
主人は現役時代から口数は少なく、家で野球の話もしませんでした。最期まで多くを口にしなかった主人ですが、自分の寿命が来るまで生ききって、その時を黙って受け止める姿を見せたかったんじゃないかなと想像しています。
※週刊ポスト2021年8月13日号