母子家庭の苦境が社会問題化している一方で、父子家庭にスポットがあてられることは多くない。しかし実際にはシングルファーザーならではの苦労はあまりにも多い。初歩的な家事に日々躓き、仕事を休むことの理解も得づらい──女優・竹内結子さん(享年40)が亡くなり、突然2児のシングルファーザーとなった中林大樹(36才)もまた、この1年多くの苦難を抱えた。そんな家族に訪れた、“身内”の横やり──。
7月中旬、都内の商業施設の駐車場で、白のTシャツに黒のハーフパンツを合わせた男性がまだ小さな子供を車に乗せていた。プリスクール保育園(英語環境の中で未就学児の保育を行う施設)から帰るところのようだ。慣れた手つきでチャイルドシートをセットして座らせると、笑顔の男の子が大きな瞳でパパを見つめている。パパもつられて、にっこりと微笑む。父子だけの登園にも随分慣れたようだ。母親不在となって間もなく1年が経とうとしていた──。
竹内さんが突然この世を去ったのは、昨年9月27日のことだ。自宅で竹内さんを見つけた夫がすぐに119番通報。病院に救急搬送されたが、手の施しようがなかった。
あの明るさからは想像しがたい自死を選んだという事実もさることながら、三浦春馬さん(享年30)、芦名星さん(享年36)に続く悲しい知らせは、コロナ禍に沈む世間に計り知れないほどの大きな衝撃を与えた。
残されたのは、前夫・中村獅童(48才)との間に2005年11月に生まれた長男と、2019年に再婚した夫・中林大樹(36才)、彼との間に2020年1月に生まれた次男の3人。それは、竹内さんがようやく手に入れた心安まる居場所だった。
三姉妹の末っ子として生まれた竹内さんは、両親の離婚、母親の死、父親の再婚を経て“6人きょうだい”に。16才ですでに芸能界の仕事を始めていた彼女は、複雑な家庭環境と日によって変わる仕事場とを行き来しながら、自分の居場所探しに苦心していた。
仕事では朝ドラのヒロインを勝ち取り、本格的に人気女優への道を歩み、プライベートでも、2005年の獅童との結婚で居場所を得たはずだった。しかし、獅童の女性問題もあり、結婚生活はわずか2年半で幕を閉じる。それから10年以上を経て再婚にたどり着いた彼女にとって、4才年下の中林と営む家庭は、何があっても手放したくなかったはずだ。それなのに──。