今年のグラミー賞授賞式でパフォーマンスを披露するBTS(写真/GettyImages)
マクドナルドの売り上げが4割増
BTS FESTAの期間中、韓国ARMYが集まるファンコミュニティではデビュー8周年記念ということもあって、「BTSトクバプ(釣り用の餌、好きなアイドルに関する新情報の意)が溢れるこの時期は忙しい!」、「トクバプを1つも逃したくないからFESTA中は一切予定入れない」、「血と汗と涙を流しながら一歩ずつ成長する姿を見守れて嬉しい。心で育てた我が子達!」といったARMYたちの生き生きとした声で溢れていた。
また、BTSからトクバプをもらうだけで終わらないのがARMYである。BTSへのプレゼントの代わりに「#BTS8thAnniversary」のハッシュタグでユニセフや子供病院、動物団体などへ寄付したことを報告。日本のARMYもユニセフに寄付し話題になった。
さらに、熱狂的ARMYの影響力は企業にも波及している。米マクドナルドが世界49か国の店舗で発売したコラボメニュー「The BTS Meal」は、世界中で爆発的な人気に。韓国ではナゲットの1日の平均販売量が前月比250%増加し、インドネシアでもあまりに多くの注文が殺到したことで複数の店舗が一時営業停止の騒ぎにまでなったという。マレーシアでも、コラボ限定パッケージを保管するための容器を持参するファンが続出したそうだ。
マクドナルドが7月28日に発表した第2四半期決算は、コロナ禍にもかかわらずグローバルでの売上高が対前年比40.5%増という驚異的な数字に。この要因のすべてがBTS効果ではないかもしれないが、コラボが売り上げを後押ししたのは間違いないだろう。韓国放送局MBCは、「BTS Mealがあまりにも人気で、激務に疲れたアルバイトたちがPTSD(心的外傷後ストレス障害)ならぬ“BTSD”を訴えている」と紹介していた。
BTSは、昨年9月に英語曲『Dynamite』が米Billboardのシングルチャートで首位を達成したのに続き、新曲『Permission to dance』、『Butter』でも初登場1位を獲得。Billboard史上初登場1位は54曲しかないという。『Butter』は9回1位となり、8月7日時点で2021年で最も長く1位をキープした曲になった。数々の記録を打ち立てるBTSの快進撃はまだ続きそうだ。
【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。