スポーツ

中田翔移籍問題で考察 スポーツ界のいじり根絶は指導者の責務だ

日本ハムから巨人へ移籍し、原辰徳監督(左)と撮影に応じる中田翔(時事通信フォト)

日本ハムから巨人へ移籍し、原辰徳監督(左)と撮影に応じる中田翔(時事通信フォト)

 近年は、怒らない、怒鳴らない指導で甲子園に出場する高校野球の監督も増えてきた。だが、長年、当たり前としてきた乱暴な言動が、いきなり世界から消えることはない。プロ野球日本ハムファイターズが8月11日に発表した「中田選手の違反行為と処分について」。再び表面化した体育会特有と言われる「いじり」「かわいがり」について、俳人で著作家の日野百草氏がレポートする。

 * * *
「あの円陣、いじりの思い出が蘇りました。部活で嫌な思いをした人にはわかる空気です」

 元高校球児、関田秀隆さん(40代、仮名)に改めて映像を観てもらう。観ていただいているのは北海道日本ハムファイターズ(以下、日ハム)の球団公式ツイッターに投稿された、オリックス・バファローズ戦前の円陣である。4月11日に公開されたこの映像は当時から「空気最悪」「いじりがキツい」といった意見が寄せられた。

「体育会系では伝統みたいなものです」

 いじりとはからかったり、つっこんだりといった行為で、コミュニケーションの一環とされてきた。

「仲の良い間でからかったり、つっこんだりはありますけど、部活みたいな上下関係では意味が違ってきます」

 断言はできない。ここは意味が違ってくることもある、と言うべきだろうか。部活の上下関係でも仲が良かったり信頼関係が構築されたりしていれば、それはまさしくコミュニケーションの一環だろう。だが筆者のこの意見に、関田さんは首を振る。

「いや、サークル感覚の部活ならともかく、プロを目指すような部活の上下関係はそんなものじゃありません。上級生によっては独裁国家みたいになります。そんな状態になった部に入る新入生は地獄です」

 部活の恐怖政治といえば監督や顧問がまっさきに上がるが、実際の部活によっては上級生、先輩による恐怖支配が蔓延っていることもある、ということだろう。筆者もこうした部活で上級生によるいじりの被害を受けたことがあるが、この問題が時代や学校、個々人の関係にもよるのでバッサリ「悪」と言い切れないところが難しい。これがわかりやすい体罰やシゴキに比べていじり行為(悪質な、とつけるべきか)の対処をより難しくしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン