シャンプーは上向き、すすぎは38℃まで
体は顔よりも皮膚(角層)が厚いため、顔ほどシャワーの水圧を気にする必要はない。
「同様に、シャンプーのときも、シャワーから直接お湯をかけてかまいません。顔の皮脂腺が50~70個なのに対し、頭皮は140~190個にもなり、全身で最も皮脂腺が多い。しっかり落とさないと皮脂が毛穴に詰まり、においや抜け毛の原因になります。お湯の温度も、顔ほどぬるくする必要はありません」(小西さん)
頭と体は、肌にとって刺激にならず、かつ体が冷えにくい38℃程度が適温。
ただし、シャンプーは上を向いて行うのが鉄則。シャンプーの泡やトリートメント剤が顔につかないようにするためだ。
「多くのシャンプーに含まれている合成界面活性剤は、一瞬でも肌に付着すると、角質の間に入り込んで、『角質細胞間脂質』という、肌が本来持っている水分と油分を保つ構造を壊します。特に、トリートメント剤の合成界面活性剤は強力です。
シャンプーやトリートメント剤が肌について角層が壊れると、乾燥がひどくなってシミやしわにつながるほか、ダニやハウスダスト、花粉などに対するアレルギー反応がひどくなったり、かゆみや湿疹が出たりすることもあります。
いま多くの人が悩んでいるマスク荒れも、肌の角層が弱っていることが一因。角質が健康な状態であれば、マスクの摩擦にも耐えられるのです」(菅原さん)
可能なら、合成界面活性剤が含まれていないものや、せっけんシャンプーなどを使うようにしよう。
菅原さんによれば、肌や髪にとって最も刺激になるのは、洗顔料やシャンプー、トリートメント剤のすすぎ残し。適切な温度と水圧であればすすぎは何度やってもやりすぎることはないので、念入りに行ってほしい。
「すすぎ残しを防ぐため、入浴の際は、【1】クレンジング【2】シャンプー【3】体を洗う【4】洗顔の順番で行うのがおすすめです。
ある研究によると、シャンプーした翌日の皮脂量は、上を向いてすすぐと頭皮1平方センチメートルあたり約71μg(マイクログラム)なのに対し、下を向いてすすぐと約65μgなので、下を向いてすすいだ方が、洗い残しは少なくなります。
ただし、すすぐときも、シャンプーやトリートメント剤が肌につかないように気をつけて、最後に洗顔するようにしましょう」(小西さん)
頭皮の洗い残しは、においだけでなく、抜け毛や薄毛にもつながる。
合成界面活性剤はシャンプーだけでなくボディーソープにも含まれていることが多いため、できるだけせっけんを使った方がいいとも。
「夏はせっけんをよく泡立てて、手のひらで体を洗ってほしい。ナイロンタオルなどでゴシゴシこすって洗うと、体にもシミやしわができやすくなるほか、年齢を重ねてから首などの皮膚が薄い場所にイボができる原因にもなりかねません。
汗や皮脂が少ない冬は、毎日せっけんで全身を洗う必要はありません。せっけんを使うのは汚れやすい足の指やわきの下、デリケートゾーンなどだけで、あとはお湯で流すだけでも充分です」(菅原さん)