石破・河野の一本化なら「1回目で過半数」か
どちらが勝算が高いか。
件の自民党の党員への調査が実施された9月4日、二階氏は赤坂議員宿舎で石破氏を呼んで会談し、「出馬に必要な推薦人を二階派から出してもいい」と協力要請を受諾したとされる。ところが、その翌日から、石破派内では「石破氏は出馬を見送り、河野規制改革相を支援するべきだ」との意見があがり、石破―河野連合構想が急浮上する。反2Aの菅首相や二階氏にすれば、「河野―石破」連合は1回目で勝つために必要な戦略と言える。
総裁選の投開票の手順は、党員・党友が往復葉書で投票し、投開票日の9月29日に各都道府県選管が開票、党本部(総裁選中央選管)で全国集計し、各候補の票を議員票と同数(383票)に換算してドント方式で配分する。開票結果は、党員票の結果が議員の投票に影響しないように議員票と党員票が同時に発表される。
冒頭の自民党調査の結果から党員投票での各候補の得票(議員票に換算)をシミュレーションすると、石破氏と河野氏がどちらも出馬する場合は、
1位 石破氏144票
2位 河野氏103票
3位 岸田氏97票
4位 高市氏39票
と票が割れる。
議員票(383票)は岸田氏と河野氏が多く得票すると予想されるが、過半数を取るには河野氏が議員票280票、岸田氏は286票と、いずれも議員票の7割以上を得なければならない。派閥の引き締めが利かない状態では現実的ではなく、決戦投票にもつれる可能性が高い。
では、石破―河野連合ができて候補者を一本化した場合はどうなるか。党員投票で2人の得票がそのまま加算されるとして得票をドント方式でシミュレーションすると、
1位 石破―河野連合 247票
2位 岸田氏 97票
3位 高市氏 39票
と岸田氏に大差の1位となる。石破-河野連合は議員票383票のうち136票(約35%)を獲得すれば1回目の投票で過半数を取り、決戦投票なしで総裁選に勝利できる。
「議員票は石破より河野のほうが取れる。河野が出れば所属する麻生派、細田派の中堅若手の票が見込めるが、石破には入らないからだ。党員票は石破のほうが多くても、一本化するなら石破が降りて河野に絞ったほうが勝ち目が高い」(二階派幹部)
肝心の河野氏は、あくまで派閥の支持を得ようと親分の麻生氏や幹部のもとを回っている。だが、総裁選の勝敗は、2Aの政敵である石破氏と連合を組み、候補を自分に一本化することができるかどうかにかかっている。