国内

森友学園スクープ記者のコロナ感染ルポ【後編】「数値を見て絶叫した」

入院2日目の相澤氏。体重はすでに7㎏減っていた

入院2日目の相澤氏。体重はすでに7㎏減っていた

 森友学園への国有地払い下げをめぐる財務省の公文書改竄問題で自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんの遺書を2018年にスクープしたジャーナリストの相澤冬樹氏。現在も精力的に取材活動を続けているが、8月下旬に新型コロナ感染と診断された。保健所への切実な訴えが実って何とかホテルへ辿り着いた相澤氏だが、症状が悪化してしまい──。2週間の闘病の様子を本人が振り返る。(前後編の後編)

 * * *
 コロナと診断されてから5日後、なんとか隔離施設(ホテル)に入ることができた。ところが、「医療」への道は遠かった。

 入所先は大阪の中心部、心斎橋界隈にあるビジネスホテル。コロナ患者隔離用に行政が1棟借り切っている。ここに着いてわかったこと。それは、そこは隔離施設ではあるが、医療はほとんど提供されていないということ。医師は常駐していない。看護師はいるが、日に2回、電話で安否を確認するだけ。体調が悪化したら、そのことを自分で伝えなければならない。体温などは自分で測る。治療はもちろん、診察らしき行為もない。

 隔離用ホテルに到着した時、僕の症状はさらに悪化し、意識がもうろうとしていた。入所時に書かされる同意書の住所・氏名もミミズがのたくったような字だ。説明は受けたのかもしれないが、まったく覚えていない。何も判断できない状態だから、自分で体調の悪化を判断して伝えるなんて無理というものだ。

 ホテルに着いたその日、僕はベッドに横たわったまま、うんこを漏らした。コロナによる低酸素状態で動けなかったからだろう。相当に症状が悪かったことは間違いない。

 でも僕はそのことを看護師に伝える気力もなかった。病気が悪化するって、そういうものだろう。「自分で申告しなさい」という仕組み自体に無理がある。僕はホテルの部屋に一人放置され、誰にも見られることなく、悪化する症状に苦しんでいた。コロナがインフルエンザと大差ないなんて誰が言ったんだ? と今は思うが、その時はそういうことを考える余裕はまるでなかった。ホテルでは毎食、無料の弁当が支給される。僕はまったく食欲がなく、初日は一口も手を付けられなかった。

 でも食べないと体力が持たない。翌日の昼食時、弁当を受け取りに1階へ降りようとした。ところがエレベーターホールで強烈な立ち眩みに襲われた。ふらついて倒れそうになる。その場に居合わせたホテルのスタッフが僕の体を支え、エレベーターで1階まで下してくれた。連絡を受けてホテル駐在の看護師が飛んでくる。肺の機能を示す血液中の酸素飽和度を測る装置を指に取り付ける。結果を見て叫ぶ。

「数値が低すぎる! 酸素吸入器が必要です。すぐに部屋を移ってもらいます。入院も手配します」

 僕は数値を見る余裕もなくいくつだったかは分からないが、すぐさま、ホテル内の酸素吸入器を供えた部屋に移された。入院先もすぐに探すという話だったが、なかなか見つからない。結局、決まったのは翌日だった。隔離用ホテルから救急車で病院に搬送される。ところが不思議なことに、搬送先がどこなのか、誰も教えてくれない。救急車が病院に着いて、車いすに移されて中に運び込まれる、という段階になっても誰も言ってくれないので、救急隊員に尋ねた。

「僕はどこに搬送されたんですか?」

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン