「二度とあんな負けはしたくない」

 石田にとって、大きな転機になった試合がある。

 2年秋の関東大会準々決勝、勝てばセンバツに大きく前進する試合で、1対0で迎えた9回裏に2点を奪われ、東海大甲府に逆転サヨナラ負けを喫した。先頭打者を四球で歩かせたあと、得意にしていた右打者の外に逃げるチェンジアップを逆方向に連打された。

「二度とあんな負けはしたくない」

 ダッシュの1本、キャッチボールの1球から本気で取り組み、体重を増やすために補食を積極的に取り入れるようにもなった。年明けの1月、門馬敬冶監督(当時)が「石田の取り組みが抜群にいい。ほかのピッチャーが着いていくのが大変なほど。常に先頭に立って、チームを引っ張っている」と語るほどだった。

2年秋のサヨナラ負けから成長した東海大相模の石田投手(時事通信フォト)

2年秋のサヨナラ負けから成長した東海大相模の石田投手(時事通信フォト)

 東京・関東の最終枠で選ばれたセンバツでは、ストレートの最速を146kmに伸ばし、スライダーも120km台後半を記録するまでに成長した。

 3年間のベストゲームに挙げるのが、センバツ準決勝の天理戦だ。右打者の内角を臆することなく攻め続け、3安打15奪三振無失点の快投。準々決勝の当日に、キャプテンの大塚瑠晏が急性胃腸炎で離脱するアクシデントがあったが、石田が周りの仲間に声をかけ、一丸となって戦い続けた。長谷川将也部長は、こうした石田の姿を評価する。

「石田は明るい性格で、いつも輪の中心にいる。ベンチでも周りによく声をかけています。それを、自然にやっているのが石田のいいところです」

 好きな言葉は、門馬監督から贈られた『影響力』。エースとしての言動や姿勢を常に意識してきた。

 3年夏は新型コロナウイルスの影響で出場辞退になったため、真剣勝負の場に立てなかった無念さが残る。

「甲子園は、実家のテレビで見ました。高いレベルの選手たちを見て、すごく刺激になりました。高校で終わりじゃない。自分の武器はコントロールと変化球。これからも、そこで勝負していきたい」

 現時点での評価はドラフト2~3位。名門で鍛え上げたピッチングで、理想とする「負けない投手」を目指す。

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