国内

中学入試で起きた首都圏の「御三家離れ」は解消か 武蔵、女子学院など根強い人気

大学合格実績も好調で人気復活の武蔵中学(東京都練馬区)

大学合格実績も好調で人気復活の武蔵中学(東京都練馬区)

 今年の中学入試では、首都圏の「御三家」といわれる超難関校が軒並み志望者数を減らすという“異変”が起きたが、来年度もこの傾向は続くのか。大手塾模試での志望状況や他の難関校の動向も含め、中学受験に詳しい安田教育研究所の安田理氏に予測してもらった。

 * * *
 2021年度の中学入試では、東京の男子御三家(麻布、開成、武蔵)、神奈川の男子御三家(浅野、栄光学園、聖光学院)の6校すべてが前年より志願者数を減らしたが、こうした事態は過去になかった。

 女子はここまで極端ではなかったが、東京の女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)のうち増えたのは桜蔭のみ。神奈川の女子御三家(フェリス女学院、横浜共立学園、横浜雙葉)も増えたのはフェリス女学院のみ(横浜共立学園は2回目は増えている)だった。

 このように12校のうち増はわずか2校に過ぎなかった。千葉、埼玉に目を移しても、千葉の御三家(市川、渋谷教育学園幕張、東邦大学付属東邦)、埼玉を代表する浦和暁の星女子、開智、栄東はすべて減らした。このように2021年度入試は実に特異な年であったといえる。

「御三家」敬遠の影響

 なぜこうしたことが起こったかと言えば、コロナの感染を恐れて出願数を減らしたことが大きい。受験校を絞るとなれば、合格の可能性が低いところから外すのは当然である。御三家からチャレンジ層が離れたということだ。

 千葉、埼玉はこれに加えて、交通機関を利用して遠くまで受験に向かうことで感染を心配した、という要因が加わる。特に千葉の減少が著しかったのは、万が一入試解禁日の1月20日以降に感染したら東京、神奈川の解禁日である2月1日までに快復が間に合わないからである。埼玉は1月10日解禁なのでまだ間に合うと踏んだ家庭が多かったとみられる。

 こうした御三家の動向が他校にどう影響したかと言えば、東京の男子では海城、駒場東邦が増加し(早稲田は減)、神奈川の男子ではサレジオ学院、逗子開成が増加。女子は鴎友学園女子、豊島岡女子学園が増加(吉祥女子、頌栄女子学院は微減)と、次のレベルへとシフトしたことが見て取れる。

 神奈川でも、いま女子最難関とされ、先進的な教育内容で評価が高い洗足学園も減少(鎌倉女学院は微減)。こう見てくると、神奈川の女子は県内の女子校ではなく、共学校へシフトしているか、東京に流れていると思われる。

対話型・探求型授業が特徴の洗足学園(神奈川県川崎市)

対話型・探究型授業が特徴の洗足学園(神奈川県川崎市)

 入試には隔年現象がつきものだが、では、2022年度はどうなるのか──。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン