韮澤:えーっと、どこまで話しましたっけ?
大槻:葉巻型UFOの写真だよ。宇宙人が窓越しに手を振っているならまだしも、これじゃあ何も言えない。
韮澤:いずれにしても、この事件をきっかけに、宇宙からの脅威が真剣に論じられるようになった。
大槻:あなた、30年前も「先進国間で論じられている」って言ってたじゃないか!
韮澤:最近、日本の防衛省も「宇宙作戦隊」を発足しましたよね。あれも一連の流れですから。
大槻:はぁ……。あれは宇宙人とは無関係。そもそもね、たとえ宇宙人がいても、宇宙はとてつもなく広大で、簡単に地球には来られない。そして、大事なのが「来る理由がない」ということ。
韮澤:来ているものはしょうがないでしょう。
大槻:しかしまぁ、こんな話をよく30年も続けてきたもんだ。
韮澤:まったくですね。でも、私も話の回し方が下手になってきた(笑)。
大槻:そうだね。最近はぜんぜん突っかかってこないじゃない。テレビの時は、あなたをイジメると笑いが取れるのに、乗ってこない。
韮澤:反応が鈍っているんですよ。
大槻:私ね、韮澤さんのことは嫌いじゃないんですよ。
韮澤:私もです。
大槻:商売や売名でUFOとかオカルトを利用する人がいるでしょう。でも、韮澤さんは本気で信じているからね。
韮澤:最初は叩かれてツライ思いもしたけど、逃げたくなかったし。
大槻:お茶やゴルフに誘っても来てくれない。「視聴者に2人のバトルが“ヤラセ”と誤解されるから」って。真面目なんですよ。だから好感を持ってるの。
韮澤:だったらUFOを認めていただいて……。
大槻:それとこれは話が別だって!
* * *
30年の時を経て、未だ衰えることのない2人の「UFO漫談」。論争の“最終決着”は10年、20年先に持ち越されそうだ。
【プロフィール】
大槻義彦(おおつき・よしひこ)/1936年生まれ。東京教育大学物理学科卒業後、東京大学大学院修了。理学博士。早稲田大学教授、日本物理学会理事、ミュンヘン大学客員教授などを歴任。プラズマ研究の第一人者として知られる。
韮澤潤一郎(にらさわ・じゅんいちろう)/1945年生まれ。法政大学哲学科卒業。たま出版編集長を経て、同社代表取締役社長。UFOをはじめ、超能力、心霊現象などの超常現象に精通。現在も超常現象研究家として活動。
撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2021年11月5日号