常に在庫リスクを抱える業界
一方、前述したユニクロ制服については、冷ややかな意見も出ています。
我々はつい、学生服はカジュアルウェアと同様に大量生産・大量販売なのではないかと思ってしまいますが、前出の販売店社長によれば、「学生服は、大きすぎるサイズとか小さすぎるサイズとか、障がい者でも着脱できるように製造・販売しないといけない」という側面があるとのこと。
そう指摘されてハっと気付かされたのですが、確かに学校には並外れて大きい生徒や小さい生徒、または車いすに乗った生徒が入学してくる年度もあります。その際、1枚からでもその生徒のために学生服メーカーは製造できなければなりません。また販売店も常にその在庫を持っていなければなりません。
「果たしてユニクロがそこまで非効率なビジネスを続けられるのか?」というのが販売店社長の意見です。メーカーも小売店もそういう在庫リスクを常に背負っています。いつ何時、そういう生徒が買い替え・買い足しするのかわからないのです。
「ごめんね、今から生産するから3か月間待ってね」という対応は学生服メーカーも小売店もできませんし、してはならないのです。そのため、実際に先行してユニクロ制服が採用された三重県鳥羽市の市立中学校では「準制服」としての採用にとどまっています。