ライフ

山村美智氏インタビュー 36年半連れ添った亡き夫との日々を綴るエッセイ

山村美智氏が新作について語る

山村美智氏が新作について語る

【著者インタビュー】山村美智氏/『7秒間のハグ』/幻冬舎/1430円

「私も闘病記の類を読むのは苦手だし書こうとも思わなかった。この本は『こんな夫婦もいるんだな』という面白い読み物として楽しんで下されば嬉しいです」

 元祖ひょうきんアナとして知られ、現在は女優としても活躍する山村美智氏。昨年12月、彼女は元フジテレビの名物プロデューサー、宅間秋史氏を1年半に亘る闘病の末に亡くし(享年65)、その心身の空白を綴ったのが本書、『7秒間のハグ』だ。

 表題は夫婦が日課とした、ごくごく軽めの抱擁のこと。

「食道癌が見つかったのが2019年7月。元々ハグは毎日していましたが、7秒すると絆が深まるらしいよって、夫がどこかから聞いてきて。体調の悪い時や喧嘩の最中でも、いーち、にーいってふざけた感じでいいの。歯磨きなんかと同じで、ただの決め事だから。でもその7秒を毎日やることで、本当につらい時も深く向き合えるようになるんです」

 驚くことに第1稿完成は、夫の死からわずか半年後。

「最初は『書いた方がいい。少しは哀しみから抜け出せる』って人に勧められても『絶対無理』って逃げ回っていたんです。でも毎日泣いてばかりもいられないし、彼がどんなにチャーミングな人だったか、仕事の面も含めて知ってほしいという使命感から『書いてもいいかも』って、ふと思った。

 ただ、いざ書き始めると本当につらくて、痛くて、涙を洪水のようにボタボタ流すことにもなった。でも結果的に書いてよかったです。彼は編成局のプロデューサーだったから一般にはあまり知られていなかったし、退院後に作りたい映画の企画が5本もあって、全然諦めていなかった姿を書くこともできたので」

 ドラマ『29歳のクリスマス』や映画『ウォーターボーイズ』等を手がけ、ミスター・フジテレビとも呼ばれた秋史氏。その横顔を、山村氏は〈モダン会〉なる気の合う局内の仲間同士で行った、大磯の海から書き起こす。

 顔ぶれは2人の他、現フジテレビ副会長の遠藤龍之介氏、『東京ラブストーリー』や『ロングバケーション』を後に演出する永山耕三氏、そして寺尾のぞみ氏の5人。部署もバラバラな彼らは青春を取り戻すかのように夜の海ではしゃぎ、その中の2人が結婚に至るのも、よくある話ではある。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン