ビジネス

中古車高騰に販売業者「儲かっちゃいないよ、なんでも高くなってるんだ」

マイカー元年と言われる1966年の東京モーターショー。いまや地方では車は一家に一台ではなく一人に一台(時事通信フォト)

マイカー元年と言われる1966年の東京モーターショー。いまや地方では車は一家に一台ではなく一人に一台(時事通信フォト)

 自家用乗用車の世帯当たり普及台数を都道府県別にみると、もっとも多い福井県が1.715台で、少ない東京都は0.422台となっている(2021年3月末現在、自動車検査登録情報協会調べ)。電車や地下鉄など公共交通網が普及している大都市圏をのぞき1台以上を所有する傾向にあり、日本国内の大半の地域では、自家用車は贅沢品ではなく生活必需品だ。だが今、世界的に続く半導体の供給不足により自動車の生産が滞っている影響から、中古車価格がこれまでにない上昇を続けていて、とても日用品と呼べる品揃えではなくなっている。俳人で著作家の日野百草氏が、地方の中古車販売業者から最近の中古車販売事情を聞いた。

 * * *
「中古車いま高いよ、新車と変わんない中古車だってある」

 甲信地方の中古自動車店、天気良好でこの地方にしては陽の暖かい11月、白の映えるワンボックスを水洗いする店主に道すがら話を伺った。

「乗り出し30万でミニバンないかって電話で問い合わせ来たけど、そんなの個人のオークションで探してどうぞって切っちゃったよ。わかってないよね」

 この地方に限らず田舎で車のあるなしは死活問題、車なんていらないなんて都市部の駅チカ住民という日本に住む一部の話で、駅チカでも田舎は日常で電車なんか使えない。

「この辺で電車なんて通学にしか使わないよ、車がなきゃなんにもできない」

 店主は筆者がホテルで借りた自転車(ママチャリ)に目をやりながら首を振った。田舎は自転車も高齢者か子ども、レンタルサイクルの観光客くらいしか使わない。どこまでを田舎とするかにもよるが、そうした地域でいい年した大人、まして男が自転車なんて何か問題があるんじゃないかと思われる。とにかく車がないと日常生活は不自由だ。

「だから新車が半年待ちじゃ中古にするってなる。RVとか軽の人気車はすぐ捌けるよ」

すぐ買えるからって気に入らない車を何百万円も出して買わない

 コロナ禍のソーシャルディスタンス、密を避けるための公共交通機関離れもあって昨年から中古車市場は高騰しているが、そこに車載半導体不足による国内自動車メーカーの減産が追い打ちをかけている。世界的な半導体の奪い合い、日本はここでも買い負けが続いている。10月の新車販売は31%減、部品不足によるものだが、プラスチック素材やウレタン素材も不足しているので半導体だけの問題ではない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン