ライフ

3G停波で増加する「スマホ持ってるだけ難民」 周囲の人々の困惑は続くのか

2002年7月、3Gサービスが始まったころの量販店携帯電話売り場(時事通信フォト)

2002年7月、3Gサービスが始まったころの量販店携帯電話売り場(時事通信フォト)

 携帯電話会社によって時期にバラツキはあるが、旧方式3Gサービスの停波が近づいている。ユーザーにとっては、長年、使ってきたガラケーが使えなくなるという形で迫っている。もっとも早いauが2022年3月、ソフトバンクが2024年、ドコモが2026年に3Gを終了する予定だ。今からガラケーを機種変更するとなると、慣れた使い勝手の機種は選べず、スマートフォンになる可能性が高い。ライターの森鷹久氏が、「スマホ持ってるだけ難民」の奮闘と、それに振り回される周囲の困惑についてレポートする。

 * * *
「全然使い方がわからない、説明書も入っていない。年寄りだと思ってこんなものを売りつけるのか」

 九州北部にあるとある携帯電話販売店に怒鳴り声が響く。声の主は70代の男性で、その傍らには男性の妻と思われる高齢の女性が佇んでいた。男性が振り上げた手に握っていたのは、妻が最近購入したばかりの「スマホ」だ。接客をした女性従業員・柏木宏美さん(仮名・40代)が振り返る。

「いわゆる『ガラケー』が本年度末で利用できなくなるので、ご使用されているお客様には順次、買い換えをご案内しているんです。女性のお客様にもそういったご案内をして、しっかりご説明を差し上げた上でお買い替えいただいたのですが、思っていたような使い方ができなかったようです」(柏木さん)

 スマホに限らず、最近の電化製品には取扱説明書がない、あったとしても極めて簡素なもので、詳しいことはネットで公開ということが多い。最新家電に慣れ親しんでいる若者であれば問題ないのかもしれないが、ガラケーからスマホに買い換えたばかりの高齢者にとっては、手に取ることができる説明書がないのは致命的だ。ガラケーから姿形がまったく異なるスマホを説明書もなしに使えなど、無理難題というものだ。そのうえ、ガラケーで使っていた電話やメールのやりとりを、同じようにできないとなれば苛立ち怒りを覚えてしまうのも無理ないことかもしれない。

「買い換えられたお客様の多くが、使い方がわからないとおっしゃります。ただ、それに全て応じていると、いくら時間があっても足らない。ですから、有償で設定などのサポートサービスを各店舗で行っているのですが、そういったサービスはご利用されない方が多いんです」(柏木さん)

 もちろん、販売店等で無料の「スマホ使い方講座」も実施されている。しかし、決められた時間割から選んで予約を申し込まねばならず、「金を出して買ったのに、まだ手間がかかるのか」と敬遠する高齢者は多い。有料のサポートサービスも同じで「また金がかかるのか」と憤慨する客も少なくないという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン