2021年10月30日、コロナ禍のハロウィン。多くの人が行き交っていた(AFP=時事)
緊急事態宣言下でも通常通りの営業をしている飲食店に客が殺到している、そんな光景は全国あちこちでみられたが、そうした店から今、客足が遠のき始めているというのだ。
大阪市内で複数の居酒屋を経営する吉川裕太さん(30代)も、そうした世の中の雰囲気をひしひしと感じている。
「うちは、国や自治体の要請を守っていましたが、守らない店には人が殺到して本当に悔しい思いをしていました。でも、要請が解除になった途端に、お客さんたちは『あの店は闇営業だから』といって敬遠し始めています」(吉川さん)
なかには、闇営業の店に通っていながら闇営業店をバカにする客もいて、それについては吉川さんも「身勝手すぎる」と腹を立てるが、それでも闇営業店の自業自得に他ならないと思っている。
「闇営業でもしないと客が離れてしまう、という危機感は誰もが持っていましたし、うちもやるかどうか、相当迷いました。でも、あの時に、たとえ要請というお願いであっても、それを守っていたか守っていなかったかというところは、お客もちゃんとみているんですよ」(吉川さん)
コロナ禍をどう過ごしていたか、その印象によって、店への客の戻りに差が出ているというが、これは正直者がバカを見なくて済んだ、という結果なのか。止むに止まれず営業を続けた店にも言い分はあるのかもしれないが、アフターコロナの客や消費者の判断は、以前にもましてシビアになっているのかもしれない。