須永氏は、キャストたちの「世代的なバランス」にも着目する。
「重要な役どころを担う大塚芳忠(鱗滝左近次役)や関俊彦(鬼舞辻無惨役)といった大ベテランや、“柱”や鬼役の多くを占める脂の乗り切った中堅~ベテラン勢に加え、新進気鋭の声優たちも数多く出演しています。鬼頭明里(竈門禰豆子役)もアニメ第1期放送時は声優デビュー6年目でしたし、他にも人気作『ゾンビランドサガ』の主人公・源さくらをはじめ数々の人気作でメインキャラを担当する本渡楓(炭治郎の弟・茂役)や、2019年から放送されたリメイク版『フルーツバスケット』の主人公・本田透などを演じる石見舞菜香(我妻善逸の鎹鴉・チュン太郎役)など、人気と実力を兼ね備えた面々が顔を揃えています。
もちろん、メインキャストの盤石さも忘れてはならないポイント。特に竈門炭治郎に関しては、『主人公らしさと“優しさ”を併せ持つ炭治郎を演じられるのは、花江夏樹の他をおいていない』と言えるほどのベストキャスティングです」
モブキャラに至るまで有名声優を起用している『鬼滅の刃』だが、声優ファンに向けて豪華キャストを前面に押し出すというより、「作品のために自然とそうなった」という姿勢が感じられる。
「そもそも『鬼滅の刃』は、作画・音楽の分野も“作品ファースト”が徹底されている作品。 その姿勢をキャスティングの面でもモブキャラに至るまで貫き、その信念に応えた声優陣の好演が、アニメファン以外にも本作が受け入れられていくための原動力のひとつとなったのではないでしょうか」
「『鬼滅の刃』遊郭編」でも声優たちの名演が期待できそうだ。
※禰豆子の「禰」は正式には「ネ+爾」表記。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)