その一方、2回目接種を終えたばかりの人もいれば、数か月が経過した人もいるという状況のなかで、昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏は「追加接種は急ぐべき」と言う。
「厚生労働省は追加接種は『2回目の接種完了から原則8か月以上後』としていますが、それだけ待たなくてはいけない根拠は一体どこにあるのでしょうか。世界の状況を見ると、アメリカは6か月、イギリスは当初6か月としていたのをさらに早めて最短3か月にするべきとしています。悠長にやっていると日本は後手に回ってしまう。すぐにでも追加接種が広がるように努めたほうがよいでしょう」
好きなワクチンを選べる
日本でも今年12月1日から来年9月30日まで追加接種の実施が決定。3回目用として、12月にファイザー製1200万人分、来年1月にモデルナ製1700万人分、2月にファイザー製800万人分を各都道府県に配分し、接種を受ける人の希望に沿った製造元のワクチンが選べる見通しだ。
日本における製造元別ワクチン接種率は、ファイザーが83%、モデルナが17%、アストラゼネカが1%以下となっており、追加接種では2回目までとは異なるワクチンを接種する「交差接種」も導入される。2回目までは原則“NG”とされていたが、問題はないのか。
「他の病気では交差接種はやりません。基本的に同じワクチンを2~3回打つようにデザインされています」(前出・二木氏)
海外での交差接種の状況について前出・室井氏はこう話す。
「海外ではいろんな会社のワクチンを混在させて打っている国は少ないのが現状です。そもそも世界的に見てもワクチンが足りているわけではなく、国ごとに1種類確保するのがやっと。複数の会社のワクチンが入っているのは、日本の他にはイギリスとアメリカなど限られます。判断材料が少ないのが現実です」
日本では追加接種には1回目、2回目に接種したワクチンの種類にかかわらず、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを使用することが決まっている。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が説明する。
「現在日本で3回目接種用として承認されているのはファイザーだけですが、この先モデルナも承認される見込みです」