結婚式が“是非参加したい”ものではなくなったことで、招待状の送り方にも変化が見られるようになった。牛窪氏は続ける。

「今、招待状を“いきなり送る”のが乱暴だと捉える人が増えています。普段から仲良くしているわけではない場合、圧力を感じさせてしまうから。同様に、みんなの前で一律に結婚式の案内をされることを嫌がる人も多い。最近では、招待したい人に事前にスケジュールや温度感を確認してから招待状を送る人が増えています」

 こうした風潮を決定付けたのがコロナだった。コロナ禍は多くの人に、自分にとって本当に大切なことは何かを考えるきっかけを与えたと言われている。どう働くのか、日々誰と過ごすかを見つめ直した人も多いだろう。牛窪氏も、女性たちと話をする中で、彼女たちが結婚式に出ない生活というものを知ったことも大きいと感じるという。

「『コロナでお金を使うことが減ったよね』という取材の途中、『あ、結婚式に出てないからだ』と取材した女性3人が同時に気づいたことがありました。そこに気づいてしまうと、もう結婚式にお金も時間もかけたくないですよね。ただ、みなさん、家族との絆は大事にします。結婚式は“家族でのイベント”に変わっていくといえるのではないでしょうか」

 もちろんこれまでのような、職場の関係者や友人、遠方の親戚を大勢招く結婚式・披露宴を志向する人もいるだろう。とはいえ、縮小傾向にあることは間違いない。

「結婚式場は危機感を抱いていると思います。ただ、先日タレントの原田龍二さんが結婚20年目で初めて挙式したというニュースがありましたよね。また、神田うのさんは8回も9回も結婚式を挙げたそうです。最近では再婚での挙式も増えていますし、授かり婚をした夫婦が落ち着いてから式を挙げるケースもあります。少し上の世代をターゲットにしたり、隙間隙間を狙って挙式の提案をするという方向に、結婚式場もシフトチェンジしていかないといけない時代に入ったのです」(牛窪氏)

 横並びでお祝いしなくてもいい——それがコロナ後の結婚式のニューノーマルなのだろう。

◆取材・文/大木信景(HEW)

 

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