スポーツ

蛯名正義氏が語る エルコンドルパサーと凱旋門賞を目指した忘れ得ぬ日々

1998年のジャパンカップ。エルコンドルパサーは日本調教馬として初めて3歳(旧4歳)で勝った(写真/JRA)

1998年のジャパンカップ。エルコンドルパサーは日本調教馬として初めて3歳(旧4歳)で勝った(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビジョー厩舎』から、エルコンドルパサーとの海外競馬の日々についてお届けする。

 * * *
 海外で競馬をしたいという思いは騎手になりたいと思った時からずっとありました。競馬オタクだった中学生の頃にジャパンカップが始まり、競馬学校時代には海外競馬もよく見ました。

 海外遠征は香港が最初です。1994年から1995年にかけて、森秀行先生のフジヤマケンザンという馬です。香港ではいまでこそ国際レースが多くなりましたが、その頃はあまり行く馬もいなかったし、競走体系も確立されていませんでした。

 1995年12月、当時まだGIIだった香港国際カップ。それまで香港で2回失敗していて普通ならクビなのですが、それでもチャンスをいただいたので、自分の中で期するものがありました。日本馬が海外の重賞を勝ったのは、これが史上初めてのことでした。

 エルコンドルパサーはデビューから1998年のGINHKマイルカップまで5連勝。NHKマイルカップでは僕もトキオパーフェクトという4連勝の馬で臨みましたが、距離が持たなくてこっぴどくやられました(笑)。

 秋以降は僕が乗るようになったのですが、当初は他のジョッキーが何人か候補にあがっていたそうです。

 ところが僕が夏競馬でエルコンドルパサーと同じオーナーのオフサイドトラップで重賞を連勝していた。そんなこともあってオーナーが僕に乗ってほしいと言ってくださったようです。

 毎日王冠ではサイレンススズカの2着でしたが、次のジャパンカップでは、スペシャルウィークやエアグルーヴを相手に勝つことができました。日本で調教された3歳馬(旧4歳)がJCを勝ったのはこれが初めて。僕にとっては2つ目のGIタイトルです。

 エルコンドルパサーは4歳になった1999年、拠点をフランスに置いて10月の凱旋門賞を目指すことになりました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト