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シンザン記念はなぜ「出世レース」になったのか

ラスールは藤沢厩舎の所属

ラスールは藤沢厩舎の所属でルメール騎手が騎乗予定

 競馬の世界も調教技術をはじめさまざまなイノベーションが起こっている。結果、ひと昔前の「常識」が通用しなくなることも少なくない。競馬ライターの東田和美氏がシンザン記念について分析した。

 * * *
 明け3歳馬によるマイル戦だが、早々と勝ち上がって前年暮れの2歳GⅠに出走した有力馬は自重することが多く、新馬・未勝利を勝ち上がったばかりの馬も出走してくる。ここで好走しても同世代でのポジションを把握しにくいが、オルフェーヴルやジェンティルドンナ、アーモンドアイなどがここをステップに大きく羽ばたいた“出世レース”でもある。

 過去10年の出走馬137頭のうち、ここでの勝ち負けに関係なく26頭がその後重賞勝ち、11頭がGIを計33勝している。

 上記活躍馬以外でもミッキーアイルが勝った2014年のレースで5着に敗れているのがモーリスだったり、2016年には古馬になってから天皇賞(春)を勝つレインボーラインが6着に、スプリントGⅠを連覇するファインニードルが10着に敗れたりしている。

 出世頭3頭もマイラーにはなっていないように、ここは1600mのレースとは考えないほうがいいのだろう。ある調教師がこんなことを言っていた。

「12月の2歳GⅠを勝つと最優秀2歳牡馬(牝馬)に選ばれる可能性が高くなる。すべての2歳馬がここを目指すわけではないので、早くから使えて勝ち上がった体質のしっかりした馬なら勝ち負けになる。本当は一息入れたほうがいいのに、この相手ならと意気込んでしまう。能力が抜けていればなんてことはないけれど、ここで無理をしたことが、その後の調整に微妙な影響をおよぼすことがある」

 その点シンザン記念は正月明けということで、有力厩舎では秋から続くGⅠ連戦からも解放されているし、もし仕上がりに不安があるようなら、ここを回避して次のレースへ向かえばいいので余裕ができる。2歳GⅠにこだわることなく、先々を見据えてレースを選択することが奏功してきているのだという。

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