民放主要局すべてが飯テロに参入
もともと『鹿楓堂よついろ日和』は、すでにコミック15巻が発売されている人気漫画。さらにドラマが放送されている『オシドラサタデー』(土曜23時30分~)は、すべてジャニーズのタレントが主演を務めてきた言わば“ジャニーズドラマ枠”ですが、これまで『消えた初恋』『コタローは1人暮らし』と人気漫画をドラマ化してきました。
つまり、ジャニーズ事務所としても、飯テロは所属タレントのファン層を広げやすいジャンルである上に、『鹿楓堂よついろ日和』は質の高い人気漫画と、最高レベルの条件がそろった作品なのでしょう。もちろんテレビ局にとっても、「飯テロのファンとジャニーズのファンを両取りしよう」という狙いのある作品です。
最後に飯テロというジャンルに話を戻すと、その中心であるテレビ東京だけでなく、民放主要4局のすべてがこのジャンルに参入し、それが飲食店での食事だけでなく、テイクアウト、お取り寄せ、レシピ、キャンプなど、さまざまなニーズを網羅することにつながりました。
食べるシーンの演出も、カメラワーク、心の声のワードチョイス、BGMなど、ディテールのバリエーションが増える一方。各局のスタッフが他の作品を意識しながら、工夫を凝らし、「より食べたくなる」ような演出で差別化をしている様子が伝わってきます。
ジャニーズのイケメンアイドルによる飯テロは、今後も制作されていくのか。また、次の新たな飯テロはどんなものなのか。春以降も飯テロは毎クール1~3作程度が放送され、視聴者を楽しませてくれるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。