厚労省は3回目接種の前倒しを自治体に要請している(時事通信フォト)

厚労省は3回目接種の前倒しを自治体に要請している(時事通信フォト)

 まったく動けなかったわけではないが、「動いたら体が変になってしまうのではないか」という不安が強く、精神的にもつらかったという。

「不思議なんですが、症状が日替わりで変わるんです。たとえば、この日はしびれが強いけど、この日は疲労感が強い。この日は頭痛で、その代わり、しびれがないみたいな。10のダメージがあったとしたら、それが足に7、頭に3って、振り分けられているようなイメージです。とにかく不安で、ぼくは死ぬんじゃないかと思っていました。遺書を書こうとしたくらい、思い詰めていました」

 そんなDさんが、寝たきりのような状態から脱したのは、1か月後。外へ出て、散歩することから始めた。

「寝た状態のままだったらまずいな、体を動かさなきゃと思い、散歩の時間を増やしていったんです。そのうちに、途中で気づくんですね。ああ、もっと歩けるって。それで、ジムに行くようになって、筋トレや水泳を始めました。水泳は、余裕で1時間は泳げるようになりました。

 でも、まだ完全によくなったわけではありません。レッグプレスという太ももの筋トレをやった翌日は、太ももの異様な疲労感や足のこわばり、痛みなどが出ます。症状は落ち着いていますが、やはり接種前とは違うという感覚が続いています」

頭にモヤがかかって会話ができない──ブレインフォグの恐ろしさ

 頭にモヤがかかったような感覚が続く、いわゆる「ブレインフォグ」に悩まされている人もいる。関東地方在住の女性Eさん(30代)が言う。

「2021年8月末に、2回目の接種を受けました。当日夜から異常な悪寒と、体温計で測れないほどの高熱、頭が割れるような頭痛が長時間続き、『死ぬかも』と思いました。

 5日後には首と肩に異常な腫れと凝りが生じ、全身がバリバリと割れるような感覚も起こりました。1~2週間経つと激しい頭痛とめまい、そしてブレインフォグが始まりました。家族から、『会話をするときの受け答えがおうむ返しになっている』と言われたのですが、その間の記憶はほとんど抜けています」

 1か月後、めまいが消えて、比較的楽になったものの、その半月後に体調は再び激変する。歯ブラシを握るのもしんどいほどの倦怠感や両手両足のしびれ、日ごとに場所の変わる筋肉の痛み、こむら返り、抜け毛、ブレインフォグ、そして結膜炎やじんましんといったアレルギーのような症状にも悩まされるようになった。加えて血圧も急激に上昇し、その数値は一時180を記録したという。耳鳴りや目のかすみにも悩まされた。

「激痛は治まりましたが、いまも後頭部が硬直して動かしにくく、頭全体が重くて鈍痛や耳鳴りが絶え間なくあります。鈍痛といっても悪化したときは気が狂いそうなほど痛みますし、耳鳴りも激しくなり外の音を拾えなくなります。

 認知機能や目にも異常が出るため、文字を読んだり考えたりすることができません。記憶力も激しく低下しています。私は脳炎を疑っており、もう普通の社会生活は難しいのではないかとすら感じています」(Eさん)

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