裕次郎と渡の下に多くの傑物が集った(1986年『太陽にほえろ!』の撮影を終え、記者会見する裕次郎。写真/共同通信社)

裕次郎と渡の下に多くの傑物が集った(1986年『太陽にほえろ!』の撮影を終え、記者会見する裕次郎。写真/共同通信社)

 石原軍団は、昭和ならではの男同士の絆でつながっていた。今も語り草となっている1984年の『西部警察パートIII』の最終回では、殉職した大門に木暮課長がこう語りかけた。

「大さん、俺はなぁ、お前さんのこと、あんたのこと、弟みたいに好きだった。ありがとう、ありがとう!」

 このセリフはすべて裕次郎のアドリブだった。石原軍団を支え続けてくれる渡に対する偽りのない真心が表われている。

 しかし、その3年後に裕次郎はこの世を去った。52歳だった。

夢を見せ続ける義務

 裕次郎の没後は副社長だった渡が社長に就任し、石原プロを支えた。その渡も2020年8月にこの世を去ったが、石原プロは2021年1月まで活動を続けた。そして今もなお、石原軍団の名は語り継がれている。

 その理由を石原プロ出身の映画プロデューサー・増田久雄氏はこう語る。

「裕次郎さんは決して人の悪口を言わなかった。誰かの悪口が出たら『でもあいつには、こういう良いところもあるよ』と言う方でした。

 そんな裕次郎さんの人間力が浸透した魅力ある集団だったから、みんな石原軍団について語りたいんです」

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