芸能

『カムカム』で芝居勘の鋭さ証明した川栄李奈は納得のラストを示すことができるか

川栄李奈

絶妙な演技を見せる川栄李奈

 母から娘へバトンをつなぐファミリーストーリー。高評価のまま推移しているだけにヒロインを引き継ぐ重圧も相当なものだろう。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 前代未聞の不祥事が続く北京オリンピック。失格にドーピング問題と大荒れで人々の関心はそちらへと向きがちですが、ドラマに目を転じればいよいよ3人目のヒロインが登場! NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では2月10日からひなた役の川栄李奈さんが姿を現しました。今回の朝ドラは史上初「100年三代に亘る」物語。上白石萌音、深津絵里と二人のヒロインがつないできたバトンが、とうとう最終走者へと手渡されたのです。

 これまで約3ヶ月間、安子を演じた白石さんとるい役の深津さん、2人のずば抜けた演技力が光った。そして舞台やラジオ、活動写真や歌謡曲なども活用した飽きさせない演出に、優れた脚本が相まって、視聴者の心をがっちり掴んできた。それだけに、ここで登場するニューヒロインがすうっとドラマ世界に馴染むのかどうか……ひなたを演じる川栄さんはドラマや映画で芝居の上手さを見せてきましたが、AKB48出身、演劇畑で育った人ではないこともあって他の出演者とどう溶け合うのか正直、ちょっと心配でもありました。

 しかし蓋を開けてみると……18才の娘・ひなたをそつなくこなしている。回転焼「大月」の雰囲気にもふっと溶け込んだ。数話終ったらもう「るいの娘・ひなた」にしか見えない。それくらい川栄さんの「芝居勘」は鋭い。キャスティングした制作陣の慧眼を讃えたい。

 川栄さんは、自分がどういう立ち位置で芝居をすればよいかがわかっています。最も注目すべき点は、安子ともるいとも違う、ひなたのカラっとした現代っ子風個性を明快に表現できているところ。ぐうたらしていて優等生でなく平凡。人生の目標を設定できずモヤモヤしているあたりもリアル。川栄さんの実年齢は27才だそうですが、スッピン姿で18才の青春期を演じ、母や父への甘えぶりもまた絶妙です。

 ひなたの唯一の趣味といえば時代劇で「ミス条映コンテスト」に応募するが落選。しかし、目を付けられて映画村でバイトをすることに。ひなたを見いだした大部屋役者・虚無蔵を演じる松重豊さんも加わって、残すところ約1ヶ月半。

 今回の朝ドラは、ヒロインを支える脇の役者たちが実にいい味を出しています。例えば、お茶のお師匠さんにベリーこと市川実日子さん。「畳のヘリを踏んではいけません!」「手が遊んでる!」とビシビシ。師匠ぶりが板に付いていて着物姿も似合って素敵です。あるいは、ケチな荒物屋・赤螺吉兵衛役と息子の吉右衛門、二役を演じる堀部圭亮さんもクセになるような味わい。もはやちょっと画面に姿を現すだけで「くすっ」と視聴者の笑いが出るほど。脇のキャラクター造形がしっかりしていてそれぞれがファンに愛される豊かなドラマ世界。そしてカムカムはいよいよクライマックスへと向かっていく……。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン