背景には1982年の放送法改正で、NHKが関連事業会社に出資することが認められた経緯がある。だがそれはNHKが赤字体質だった頃のいわば救済措置で、目下、本体と子会社あわせて内部留保が3700億円を超すNHKの実態にはそぐわないだろう。

 元検察官で芸能・エンタメ法務に詳しいレイ法律事務所の西山晴基弁護士が言う。

「問題は、本来、プロダクション等が自由に音楽出版社を選べるのに、NHKが事実上一方的に指定させていることです。公正取引委員会のガイドラインや総務省の放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインによると、取引拒絶等の不利益や業界慣習を背景に従わざるを得ない関係性等がある場合には、独占禁止法の優越的地位の濫用にあたるおそれがあり、一定の関係性によっては、下請法に違反するおそれもあります。このような行為を、放送法上、営利を目的としてはならないNHKが行っていることは看過できないと思われます」

 前出のA氏は「NHKの悪口は言えないが……」と前置きした上でこう語っていた。

「NHK出版は何もしないでお金だけを持っていく。原盤権の割合を交渉するときに『ウチを通さないとやらせないぞ』みたいなことも言っちゃうらしい。だから、みんな(レコード会社は)ぼくに話を持ってくるんです。最近ユーチューブから出てきたアーティストは、NHKとやりたいとは思わないでしょうね。だって(権利を)半分持っていっちゃうんだから」

 新たな疑惑にNHKとNHK出版は連名でこう答えた。

「番組等のために音楽を制作する際は、音楽に含まれる各権利を尊重し、法令に基づいて、それぞれの契約の範囲内で適切に対応しています。 ご指摘のような批判はあたらないと考えています」

 受信料だけでなく、巨額の著作権ビジネスでも潤っているNHK。公共放送とは何か、自らの足もとを見つめ直す時期に来ている。

※女性セブン2022年3月31日号

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