大阪桐蔭の西谷監督も甲子園で勝利を58まで積み上げ、教え子から数多く野プロ野球選手を輩出(時事通信社)

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PL学園の寮生活の「上限関係」への見解

 PL時代には2年生部員が水死するという悲しい出来事もあった。PLには付き人制度があり、厳しい上下関係を強いられるのは周知だが、井元が在任していた時代にも、日常的に寮内で先輩から後輩への暴力はあったと数々のOBが証言している。

 輝かしい甲子園の歴史の一方で、自分が導いたうら若い選手たちがこうした事件に巻き込まれてきた歴史もある。スカウトとして責任を痛感しているのではないか──。井元との付き合いは6年半になるが、この話題に触れたことは一度もなかった。井元は慎重に言葉を選びながら、そして自分を戒めるように語った。

「当たり前のことだが、PL時代にそういうこと(暴力)をせえと上級生たちに言ったことはありません。むしろ、後輩が野球の指導をしっかり受けられるように、上級生が下級生の面倒をみてあげるために、上級生と下級生を同部屋にしたりしていた。悪い面ばかりが注目されますが、実際、上級生に救われた下級生というのもたくさんいるんです。

 ところが、いつしか相撲の世界のような付き人制度、徒弟制度のようなものになってしまった。子供たちには、大人が入り込めない世界というのがある。寮生活まで大人が介入してしまえば、プライベートまで完全に大人に管理されることになる。子供たちの世界というものを大人は認めてやらないといけないと当時のわれわれは考えていた。今から思えば、それが間違いだったのでしょうか。非常に難しい世代です、高校生というのは」

 青森山田から秋田の明桜(2020年4月よりノースアジア大明桜)に籍を移し、初めて甲子園に出場したのが2019年夏だった。当時の2年生エースが山口航輝であり、右肩の亜脱臼によって甲子園での登板はなかったが、翌年のドラフトで千葉ロッテから4位指名を受けて入団した。この日の取材では、その山口からプレゼントされたというロッテのキャップをかぶっていた。井元は自身が関わった球児でプロ入りしたのは総勢83人だと振り返るが、山口に続く“84人目”の候補もいる。

「山口と同級生で、白鴎大に曽谷龍平というのがおる。左で150キロを超えるまでに成長しているらしい。プロのスカウトからも良い報告を受けている。私はプロに行くことが最高の野球人生とは思っていないし、中学生を勧誘する時も、『君ならプロになれる』などと言ったことは一度もない。プロになれなくとも、野球の引退後に社会で活躍してくれればそれが幸せな道ではないですか」

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