岡田晴恵氏が危惧することとは

岡田晴恵氏が危惧することとは

 第2に必要とされるのは、保健所の機能強化だ。岡田氏が昨年末に『秘闘 私の「コロナ戦争」全記録』(新潮社刊)を上梓すると、全国の医師と、保健所の関係者からの手紙が多く届いたという。なかでも、PCR検査や入院宿泊施設の調整などを担う保健所で働く人たちの悩む声が印象的だったそうだ。

「濃厚接触者の聞き取りでも、検査してほしいと言われても『症状が出てから』、どこの病院にかかればいいかと聞かれても『自宅でお願いします』としか言えない。なにより保健所の方々は極めて忙しい状況に置かれている。それは保健所の数が2019年に(1992年と比べて)45%減少したため機能不全に陥っているという指摘もあります」

 2009年に新型インフルエンザが世界的に感染拡大した際に、厚労省の新型インフルエンザ対策総括会議が提出した「報告書」(2010年6月10日付)には、PCR検査体制の強化に加えて、地方自治体の保健所などの組織や人員体制の大幅な強化の必要性が訴えられていた。この総括会議には、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長や岡部信彦氏も名を連ねていた。

「2010年に保健所を強化する必要性を唱えていたにもかかわらず、それが今もなされていないわけです。保健所は新型コロナ対応の最前線となる機関だけに増強するべきでしょう。公務員を増やすのが難しいのであれば、集計作業などを民間委託するような対応も取れるはずです。保健所の目詰まりを回避することが必要なのです」

ワクチンで感染阻止は難しい

 そして第3の柱として、岡田氏が特に重要だと強調するのが「大規模集約医療施設」。体育館や多目的利用施設などに酸素配管をして、もしもの流行時に備えて“最後の砦”となる大規模な療養施設を作ることだ。

 今年2月、大阪市消防局が市内の高齢者施設に向けて、陽性者の症状が悪化した場合に、保健所を介さずすぐに119番通報するのを控えるよう通達していたことが明らかになった。府内の医療提供体制が逼迫していたなかでの苦肉の策だったが、岡田氏はこう指摘する。

「オミクロン株では高齢者施設でクラスターが発生しましたが、そもそも基礎疾患を持っているハイリスクの人も多い高齢者施設での自主療養を、医療者ではない介護士が支えなければならなかった。

 高齢者施設は医療施設ではなく、医師は常駐ではなく嘱託であるケースがほとんど。看護師も数名しかいない施設で、ゾーン分けをしたとしても認知症のある人は動き回ってしまうし、マスクができない人もいる。感染対策に追われた施設関係者にとって第6波は非常に厳しくつらい過酷な状況でした」

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン