3月末で退任する堀内ワクチン相(写真/共同通信社)

3月末で退任する堀内ワクチン相(写真/共同通信社)

国会議員からの手紙

 行政の怠慢に苦悩が続いたある日、岡本さんの自宅に速達が届いた。

「参議院で岡本さんの話をさせていただきました」

 手紙の主は共産党の田村智子参院議員だった。

「事前に私の自宅に電話したけど留守でつながらなかったそうです。国会で息子の件に言及して行政を追及したと聞いて驚きました」(岡本さん)

 田村議員は3月8日の参院内閣委員会で裕之さんの死亡例を挙げ、「行政の担当者に申請を受けようという積極的な姿勢はなかった」との岡本さんの見解を紹介した上で、国が責任をもって被害救済制度の申請を受け付けることを求めた。

 これに堀内詔子ワクチン担当相は、「しっかりと被害者救済制度が運用できるように努めてまいりたい」と答弁した。

 田村議員が語る。

「現行の被害救済制度は審査するのが国なのに、自治体が『書類が揃っていない』として申請が国に届いていない。これでは申請した遺族が納得できないのは当然です。リスクに対して少しでも後ろ向きな姿勢の対応を、政府側がすべきではない」

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏も、厚労省を批判する。

「本来、予防接種の救済制度は『厳密に医学的な因果関係がなくても、接種後の症状が予防接種によって生じることを否定できない場合も対象とする』ものであり、被害者を広く救済するための制度です。国は制度の趣旨を鑑みて正々堂々と審査すべきでしょう。ましてや審査以前の段階で、自治体の判断で申請が止まるなんて論外です」

 具体的な改善点を田村議員が指摘する。

「まずは申請を受け付けられるよう、厚労省が自治体向けのマニュアルを作成すべきです。また死亡事例のうち司法解剖が行なわれたのは全体の数%しかなく、死因究明のための費用助成も必要。打つだけでなく、検証までやってこそのワクチン行政でしょう」

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