ライフ

我が子の入社式に参加したいと申し出る親は少なくないのが現実

新しく社会人になる我が子が心配な気持ちはわかるが……(イメージ)

新しく社会人になる我が子が心配な気持ちはわかるが……(イメージ)

 親にとって子供は、成人しても就職しても子供のままで、大丈夫だと思いつつ心配なものだ。心配のあまり新卒で就職した子供の入社式への出席を望む親も珍しくないらしい。ライターの森鷹久氏が、新卒社員の入社をめぐって起きる親子の問題と「子供たち」の向き合い方についてレポートする。

 * * *
 都内オフィス街にも程近いカフェにいたのは、いかにも「着慣れていない」感じの真新しいスーツ姿の若い男性。男性の横には、シックなワンピースにジャケット姿、見た目50歳前後かと思われる女性がいて、男性に忘れ物がないか、道順は把握しているか、としきりに確認している。カフェの店員・山崎明彦さん(仮名・40代)がその時を振り返る。

「春だし、入学式シーズンだな、と思って微笑ましい気持ちで眺めていましたが、どうも様子が違う。大学生のアルバイトスタッフに『今日はどこの大学の入学式?』と聞くと、まだ入学式は先ですよ、って鼻で笑われちゃって」(山崎さん)

 山崎さんはてっきり、カフェから歩いて十数分のところにある大規模イベント会場で、どこかの大学の入学式でも行われているのではないか、そう思っていたのだが、違った。あの若い男性は、オフィス街にあるどこかの企業の新入社員であり、山崎さんが目撃したのは、男性の入社式に母親が付き添っている一部始終だったのだ。

「一組だけならまだしも、同じようなお客さんが何組もいたので『入学式』と思ったのですが。新社会人にしては子供っぽいというか、母親に付き添われていたからそう思えたのか。もちろん、同じような真新しいリクルートスーツで、母親に付き添われている若い女性もいましたが、男性の方が多い印象です」(山崎さん)

 地方から上京し、慣れない大都会で新生活を始める子供が心配で、入学式、そして一人暮らしの自宅まで付き添いあれこれと世話をする、これはごく自然なことだ。あるいは、いくら新成年とはいえ、18歳の我が子の門出を祝いたいという思いで親が入学式に参加する、これも一般的だ。18歳で社会人になる、という場合ももちろんあろうが、それを含めても、新社会人の入社式に親が随伴するとは驚きだ。

 しかし「めずらしくない」と話すのは、山崎さんのカフェ近くに本社を構える、東証一部上場企業の人事部員・許斐真由美さん(仮名・30代)だ。

「我が子の入社式に『参加したい』と申し出る親御さんは意外と少なくないのです。地方から上京し、子供の東京での新生活が不安だ、とか、子供の会社がどういうところか見てみたい、と言うのです。まあ、気持ちはわからなくないのですが、中には、強硬に『参加させろ』『席を準備しろ』と言ってくる親御さんもいて、なだめるのに苦労します」(許斐さん)

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン