芸能

「ピラニア軍団」の反骨“火だるまでプール”の撮影も平気な顔で「やりましょう」

ピラニア軍団のアニキ分でもあった渡瀬恒彦

ピラニア軍団のアニキ分でもあった渡瀬恒彦

 歴史ある日本映画史において、彼らほど脚光を浴びた「脇役」たちはいないだろう。川谷拓三(享年54)、室田日出男(享年64)、志賀勝(享年78)、岩尾正隆(79)、野口貴史(享年81)、小林稔侍(81)らが名を連ねる俳優集団「ピラニア軍団」。どんな危険な撮影も厭わず、公私ともにどう猛そのものだった彼らの反骨精神を振り返る──。(文中敬称略)【全4回の第2回。第1回から読む

火だるまでプールに飛び込む

 アウトサイダー役を地で演じられるとはいえ、ピラニア軍団はそれまで本格的な演技を求められることはなかった。そんな彼らに熱血指導したのも映画監督の深作欣二(享年72)だった。

「成瀬、役者は台本のセリフをそのまま言うだけなら子役と同じだぞ」

『仁義なき戦い』シリーズの撮影中、深作が俳優の成瀬正孝(72、当時の芸名は成瀬正)にこう声をかけた。

「『お前がセリフを読んで役になりきり、感じたことを表現しろ。それが出過ぎたら俺が切ってやるから』とサクさん(深作監督)に言われたことを今でも覚えています。自分のイメージに合うまで何度もテイクを重ねる厳しい監督で、映画『柳生一族の陰謀』(1978年)を撮る際、俺が馬に乗る稽古をサボっていたら、『このバカヤロー!』と怒鳴られて、役を降ろされたこともあった」(成瀬)

 陽の当たらない場所にいた脇役が、巨匠から演技を指導されて重要な役を任される。意気に感じたピラニアたちは、身体を張って撮影に臨んだ。

 仁義シリーズ2作目の「広島死闘篇」で深作から減量を命じられた川谷拓三(享年54)は20日間で15kg体重を落とした。しかしボートで海中を引きずり回されるシーンで体力がもたなくなり、危うく死にかけたという伝説を持つ。

「サクさんからすれば、ピラニアの連中ならどんな要求にも応えてくれて、自分がイメージした以上の演技をやってくれる感覚があったんじゃないかな。だからサクさんは、仁義シリーズをはじめとする監督作品でピラニアの連中をよくキャスティングしてくれたんだと思います」(同前)

 深作は当時のインタビューで、ピラニア軍団の反骨精神をこう称賛している。

〈出番は少なく、顔を出したにしても、スグにドブの中に顔突っ込んで死なないかん。馬鹿呼ばわりされ、腹ん中じゃ“コンチクショー、殺したろか”と叫びながらも、投げ出さんと、最後までついてくる。いい性根しとるんだなー、奴らは〉(『女性自身』1976年9月30日号)

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
国内統計史上最高気温となる41.8度を観測した群馬県伊勢崎市。写真は42度を示す伊勢崎駅前の温度計。8月5日(時事通信フォト)
《猛暑を喜ぶ人たちと嘆く人たち》「観測史上最高気温」の地では観光客増加への期待 ”お年寄りの原宿”では衣料品店が頭を抱える、立地により”格差”が出ているショッピングモールも
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン